更年期の世代にこそやってほしい

 紙とペンさえあれば、すぐに始められる「書く瞑想」。とても手軽な一方で、心にとどめておきたいルールがある。

嫌だった気持ち、憎しみや嫉妬心など世の中的に考えれば“悪意”のある側面だったとしてもド素直にドストレートに書くこと。すべてをさらけ出すのが、もっとも重要なポイントです。紙に書いた内容はあくまで“思考”です。汚い言葉を書いても、あなたが悪人になるわけではない。ストレスがあふれてしまう前に、ペンをとってほしいんです
 
 デジタル時代に、スマホメモではなく、手書きで、心の温度感をそのまま書き出す。すると、その過程で自分の中で凝り固まっていた負の固定観念や思い込みに気がつく人も多く、書き終えると心が軽くなることを実感するそう。

 なぜ本心をさらけ出すことが重要なのか。それは、この書く瞑想のテーマは“気づき”だから。自分の本心に気づいたら、自分にとって心地よいことを選び直せるようになる。

どの感情も自分が選んでいるわけです。その背景には、幼いころから刷り込まれた価値観や、自己肯定感の低さ、環境などいろいろあるかもしれません。でも今自分が苦しいのなら、なぜその感情が生まれたのかを自分に問いかけ、受け入れることが大切
 
 不満がある状況をそのまま放置しては何も変わらない。「人の心って思っている以上に大きなスペースがあるんです。自分の本心を殺すのではなく、素の気持ちを見つめて素直に寄り添うと、違った選択肢や思いがけない解決策にたどり着くのです
 
 自分に対して素直に、心を開いてみることは、日常において、意外なほど置いてけぼりになっている行為かもしれない。

すぐに解決策が見つかるといった魔法はありません。でも、ネガティブな気持ちがノートにあふれたら一度ペンを置き、ノートから離れてみましょう。イメージとしては物理的に負の感情を切り離してみるのです。苦しみや妬みから目を背けず、向き合い、寄り添ってあげると同時に、俯瞰することができます。それだけでも気持ちがやわらぐことが実感できます
 
 そして吉川さんは、悩み多き週女世代の女性たちにこそ「書く瞑想」を取り入れてほしいと語る。

50代にやってくる更年期は心身共にゆらぎやすく、自分を取り巻く環境も変化しやすい人生のターニングポイント。今まで親のため、子どものために自分をないがしろにして頑張ってきた人こそ、本当の自分に出会い直し、本心に気づいてほしですね
 
 また、「世間の常識と自分の本心とのズレも大きくなってくる」と、吉川さん。

「例えば、わが子に『いい大学に入っていい会社に就職してほしい』という願いを抱いているとします。それは自分も子どもも本当に望んでいる人生の歩み方なのか。それとも、世間が『良し』としている生き方をなぞりたいだけなのか。“自分が本当に子どもに望んでいること”と問い直すと、ほとんどの人が“ただ幸せになってほしい”という本心が見えてくる」

 本心に気づくこと、それが自分の内側に変化をもたらす。