プロの目から見た炊飯器調理
「炊飯器調理は楽で便利な点もありますが、ご指摘のとおり米の炊飯以外の用途で使用した後の片づけが大変だというご意見については同意する部分もあります。香りの強い調理、香辛料や薬味を使う料理、肉や魚介類の料理などの使用後は内釜や中蓋のパッキンに匂いがついて一度洗うだけではなかなかとれないことがあります。
通常の炊飯でもでんぷん質が付着するため細部まで洗うことは大切であり、美味しいごはんを食べるために必要な作業です。炊飯以外で使用する場合も同様です。臭いの除去で漂白剤を使用すればよいのではというご意見も見られましたが、炊飯器の部品(内釜や中蓋)は漂白剤NGで柔らかいスポンジと中性洗剤を使って洗うことが推奨されているメーカー(Panasonic、タイガー、象印のみ確認)が多いです」(寺島さん・以下同)
プロの目から見ても、やはり「匂い移り」や「後片付け」は無視できないデメリットのようだ。
普段から料理に携わる寺島さん自身は、プライベートで炊飯器調理を行っているのだろうか。
「炊飯器に調理機能がついているものに関してはアリです。私も機能がついたものを使用していますが火口が足りないときに使っています。火を使わないので他の作業と並行して料理ができる、調理終了後保温してくれるので温かいものが食べられる、夏場でも涼しく料理できるなど利点があります。
米を炊いた場合もその他の調理に使用した場合も都度しっかりと洗うことは食中毒の観点からも必須ですから苦ではありません。調理機能が付いた炊飯器はクリーニングやお手入れ機能、もともと匂いがつかないような構造になっているなどがありますので匂いは軽減されますが多少の匂いがつくことは致し方ないと思って使っています」
ここで重要なのは「調理機能がついているものに関しては」という条件だろう。一般的にメーカー各社は、ご飯を炊く以外の目的で炊飯器を使用することは推奨していない。壊れるリスクや事故につながる危険があるため、家の炊飯器の取り扱い説明書に記載の注意事項を一度チェックしてみるといいだろう。
寺島さんも「油を多く使う料理、カレーやシチュー・あんかけなどとろみのある料理、皮つきのまま野菜を使うときや葉野菜を使う料理、ポリ袋、アルミホイルクッキングシート、ラップを使う料理、水分を吸って量が増す食材(豆、麺、乾物、練り物など)を使う料理は特に注意が必要です」と警鐘を鳴らした。











