なかには夫婦そろって住み込みで働き、第二の人生を歩みはじめた例もある。

「都内在住の60代の旦那様と50代の奥様は、昔から旅行が趣味のご夫婦でした。旦那様の定年退職後に訪れた長野県を気に入り、おふたりで県内の宿泊施設で働きはじめたんです。数か月間にわたり宿泊業務全般をこなして契約満了を迎えましたが、生活環境や職場がとても合っていたようで、その後も繰り返し同じ施設で働いています。

 長年、都市部で生活していた人ほど、非日常を味わいたいと、このような働き方を選ぶ傾向にあるかもしれません。温泉好きの方が、無料で温泉に入れるという理由から旅館で働くということもあります

生活を気に入り、住民票を移して移住する人も

 60代の女性で、4人いた子どもが独立したタイミングでほぼ“初めて”働くという例もある。

その女性も宿泊施設での住み込み勤務ですが、自宅から車で2時間半ほどの場所で働いています。このくらいの距離なら、自宅でひとり暮らしの旦那様に不測の事態が起こっても、すぐに駆けつけられるので安心ですよね

 自分の力で稼げるようになるだけでなく、休日は好きに時間を使えるように。

環境はガラリと変わり、初めて自由な生活を手に入れられたとおっしゃっていました。しかも、旦那様との関係は程よい距離ができたことで、良好なのだとか。その女性は客室清掃をしていますが、この職種は体力的に負担が少なく、就業時間も短めです。夕方からは自由な時間を持てるので、働きやすいでしょう

 求人には平均して2~3か月の住み込みという条件が多い。残業が少なく休日数は多めで、希望の働き方を選ぶこともできるという。またコロナ禍を経て、かつての相部屋寮から個室寮が増えたことで、幅広い世代が応募しやすくなっている。

住み込みであれば、住居費だけでなく水道光熱費も無料の場合も。働くエリアや職種によって変わりますが、平均して21万~29万円ほどの月収を得られるので、十分暮らしていけます。その生活を気に入り、住民票を移して移住なさる方もいらっしゃいます

 地方に魅力を感じる人々からは“おてつたび”という人材マッチサービスも注目を集めている。人手不足に悩む地域事業者の仕事を手伝って給与をもらいながら、宿泊場所も提供してもらい、自由時間にはそのエリアを旅することができるシステムだ。

 業務は宿泊施設での仕事はもちろんのこと、収穫時期の農家や漁師のサポート、キャンプ場やスキー場の運営補助など多岐にわたる。

 今まで知らなかった地方の魅力を発見できるだけでなく、仕事を通じて地域の人々との交流が生まれ、地域社会への貢献につながるためやりがいも大きい。

やりがいというのは重要で、シニア世代でも諦めた夢を実現させたり、趣味を仕事にする機会は意外とあるんです。例えば遊園地でのアトラクションの管理や運営といった仕事。乗り降りの補助、安全確認、チケット対応などですが、その環境を楽しんで働いていらっしゃいます。若いころからの夢が叶ったと話していました

 ほかにも好きなことを仕事にした例で、美容院のアシスタントや、お酒好きが高じてバーテンダーになった人も。

人に喜びを与えられるという点で、高級マンションのコンシェルジュもやりがいがあるといえるでしょう。この仕事は来客対応や、宅配便やタクシーの手配、共用施設の予約管理など、住人がより良く暮らすために困りごとを解決する役割を果たします。就業するにはパソコンや英語を使えたり、接客業の経験が必要になることが多いですが、人によってはこれまでのキャリアを生かせるでしょうね