藤ノ川の落選に解説者も首をかしげる

 初場所も“条件”に疑問を抱くファンが多い中、特に議論を呼んだのが幕内最年少20歳の藤ノ川の落選だった。西前頭7枚目の藤ノ川は千秋楽で時疾風を破り、初の2桁となる10勝を挙げた。小兵ながら真っ向勝負を貫く取り口は場内を沸かせ、NHK中継の解説を務めた琴風浩一氏(元大関)と舞の海秀平氏(元小結)も高く評価していた。

 藤ノ川が10勝目を決めた直後、舞の海氏は「技能賞ぐらいあげたかったですね」と語り、琴風氏も「なんでダメだったんだろう。いい相撲とってると思いますけどね」とコメント。現場で相撲を見続けてきた解説者の疑問は、多くのファンの思いと重なり「ハァ!?藤ノ川は!?」「日々両国を沸かせてる藤ノ川さんもいない」と、ファンも不満のようだ。

 三賞の選考は、審判委員や維持員、記者の中から理事長が委嘱した選考委員会が千秋楽に開催し、出席者の過半数の賛成で決定される。受賞には勝ち越しが前提条件で、相撲内容が重視される一方、近年は10勝しても受賞できないケースが増えているのが実情だ。

「条件付きは以前からありますが、すでに勝ち越している力士に『今日勝てば』という条件を付けることには疑問を感じざるを得ません。千秋楽が大事なのは理解できますが、それまでの積み重ねも重要です。特に藤ノ川のように、体格差を技術と気迫でカバーして10勝を挙げた若手を評価しないのは、相撲界の活性化という観点からもマイナスなのではないでしょうか」(同・相撲ライター)

 三賞を受賞した力士には200万円が贈られるため、一部では協会の懐事情が背景にあるのではとされている。

 三賞は1947年秋場所から実施され、時代とともに選考基準は変化してきたがファンから《技能賞該当者なしは寂しい》という声に加え、選考基準や選考理由について公表してもいいのではないかという指摘も上がっている。

 何年も続く条件付き授与のあり方について、そろそろ見直しの時期に来ているのかもしれない─。