“リメイク作品”を見る感覚
乱暴な言い方かもしれないが、“誰でも知っている主人公”とその主人公が活躍した時代が描かれるドラマであって、視聴者は気楽にドラマ自体を楽しむことができる。だが、これまで大河を含め何度もドラマ化されている、所謂『太閤記』の焼き直しに、視聴者は「またか」とならないのだろうか。
ベテラン映画記者はこう語る。
「映画で言うなら、“リメイク作品”を見る感覚だと思います。キャストや演出の違いを前作品と比較してみる楽しみがあります。映画でも何度もリメイクされている作品もあり、大まかなストーリーは同じで話の流れがわかっていても、キャストが変わった新鮮さもあり、面白さという点では前作を超えるものも多い。大河でも、以前放送された作品とテーマに大きな違いはなくても、フォーカスする人物が違っていますし、俳優も違いますから既視感を感じることはないでしょうね」
王道に回帰した『豊臣兄弟!』には、これまでの大河と違う目新しい点がいくつかある。
「第1話を見て感じた人が多いと思いますが、兄弟のやり取りがコミカルであったり、兄弟の母親や姉、妹との触れ合いはどこかホームドラマっぽく、当時の農家の生活感も出ていて、戦国時代が舞台であるにも関わらず殺伐感が薄くなっていると感じました。かといって大河ドラマの真骨頂、合戦シーンは手抜きになっていません。
さらに、戦国武将が主人公となると、まわりにいる女性たちの描き方が浅くなりがちですが、今作では、お市役の宮崎あおいさんを始め、浜辺美波さん、白石聖さん、宮沢エマさん、吉岡里帆さんなど、顔ぶれが非常に豪華ですから、あっさりという感じにはならないと思います。
大河ドラマや朝ドラでは、主人公の幼年期から成人までの過程を何話かに渡って描く場合が多いですが、今作はいきなり青年期から始まっていて、それが展開の速さ、テンポの良さに繋がっていたり、若いふたりの兄弟の青春ドラマのような要素もあります。また、ドラマは好きでも大河や時代劇に興味がなかった人たちにも刺さる演出となっています。元々ある大河の魅力に加え、前作『べらぼう』で評価された点と、朝ドラ、そしてヒット作を連発している夜ドラのまさに“いいとこ取り”ですね」(同・映画記者)
やはり、NHKの攻めの姿勢は変わっていないようだ。実は配信視聴も好調で、NHK ONEでは、2025年10月のサービス開始以降に配信された番組の中で、『第76回NHK紅白歌合戦』を除き、初めて再生回数が100万回を超える番組となったという。
ここから先は歴史に残る“事件”が立て続けに起き、合戦シーンも増えることだろう。始まったばかりの『豊臣兄弟!』だが、ファンの期待はますます膨らむ――。











