弁護士が指摘するリスク

再選に向け静岡県の伊藤市長選に出馬している田久保真紀氏(本人のインスタグラムより)
再選に向け静岡県の伊藤市長選に出馬している田久保真紀氏(本人のインスタグラムより)
【写真】「めっちゃ可愛い」の声も…イメチェンした田久保前市長

『アディーレ法律事務所』の橋優介弁護士は、そのリスクをこう指摘する。

「確かに強制的に押収すること自体は不可能ではないのですが、事後的に、その押収が違法な捜査だったと判断されてしまうと、田久保氏が起訴された際の刑事裁判において、押収した“卒業証書”が証拠として使えなくなる可能性があります」

 強引な押収は“証拠の無効化”になりかねない。つまり、静岡県警が東京の弁護士事務所まで行って、家宅捜索に踏み切る可能性は低いという。また、田久保氏はかつて“卒業証書なるモノ”を議会に持ち込んで、自身で計ったという19.2秒、それを掲示したとしている。こうした行為によって、すでに「秘密性」は失われているのではないか、といった指摘もある。

「議長や副議長など、議会のごく少数の関係者にのみ、19.2秒という比較的短時間の掲示をしたにとどまるということであれば、捜査機関や裁判所に対しては、秘密を放棄していないということで、依然として“秘密に該当する”とする余地はあると考えられます」(橋弁護士、以下同)

 要求に応じない田久保氏が警察によって“逮捕”される可能性は……。

「現時点では低いと考えられます。逮捕には、逃亡や証拠隠滅のおそれがあることが要件として必要になります」

 事情聴取には応じており、“モノ”も弁護士が保管している状況では、本人逮捕の必要性は認められにくいのが実情のようだ。今後については、警察は“モノ”の押収を断念して、別の容疑での立件へと軸足を移す可能性があるという。

「最終的には、捜査機関が“卒業証書”の押収を断念することで決着するのではないかと思います。公職選挙法違反や地方自治法違反など、必ずしも“卒業証書”といわれる書類がなくても立件できる可能性のある嫌疑もあるようですから、捜査機関は、そちらでの立件に注力する形に力点を切り替えるのではないかと思います」

 19.2秒だけの“チラ見せ”から発展した騒動は、まだまだ収まりそうもない。