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ー CMソングで「無難な選択」が増加する背景
写真左からファミリーマート、マクドナルド、Yahoo!  撮影/編集部

 記憶に残るCM─それは出演者や演出、構成はもちろんのこと、使用される“楽曲”も大きな要素だ。

最近、名曲の歌詞に商品名などを入れ込む形にした“替え歌”CMが増えていますが、それと並行する形で、他社間での“CMソングの曲かぶり”が相次いでいます」(広告代理店関係者、以下同)

CMソングで「無難な選択」が増加する背景

 以下がその一例だ。

●上を向いて歩こう(原曲・坂本九)
「ファミリーマート“コンビニエンスウェア”」(千葉雄喜)
「サントリー“サントリー生ビール”」(河合優実、斉藤和義)

●Y.M.C.A.(原曲・ヴィレッジ・ピープル/※日本では西城秀樹がカバー)
「マクドナルド“N.Y.バーガーズ”」(GENERATIONS・数原龍友、片寄涼太)
「LINEヤフー“Yahoo!検索”」(内村光良)

●ラジオ体操の歌
「ヤクルト“ヤクルト1000”」(杏、山田孝之ら)
「マクドナルド“朝マック”」

●聖者の行進
「タウンワーク」(今田美桜)
「WECARS」

 聖者の行進は黒人霊歌であり趣は少々異なるが、いずれも超のつく有名曲。

有名な楽曲であるとともに、これらは“以前にも”CMで使われたことがあるもの。そこが大きなポイント。CMで使うには『広告目的複製』の手続きが必要で、使用料金はJASRAC管理楽曲であっても、楽曲の関係権利者の“言い値”です。

 また、原曲の権利者には『同一性保持権』が認められており、ざっくり言うと“変な感じに使うな”と権利者に言われたら使えないということです」

 すなわちこれらの楽曲は、

これまでもCMに使われてきた楽曲で、常識的な額で、アレンジもわりと寛容ということになります。歴史のある楽曲であれば著作権が切れていたり、不詳だったりするものもあります。つまり無難な選択ということです

 権利の問題だけではない。テレビCMは基本15秒。テレビで広告を打つということは、年配層も消費者として視野に入れているだろう。短い時間で認識してもらわなければ広告効果は薄い。

いまだに広告業界では、昭和の大ヒット+童謡+洋楽定番の数十曲しか選択肢がないのが現実です。そこから替え歌にしても不快にならないメジャー調の曲を選ぶと、どの代理店でもほぼ同じ候補リストができあがるでしょう」

 同じ時期に同じ楽曲でCM、それでいいのか。

使うのが楽という面もあるし、今の時代、冒険は炎上につながるリスクもある。例えば『上を向いて歩こう』なら、歌はちょっとエッジをきかせて千葉雄喜さんに、一方、河合優実さんで日常的な親しみやすさを……程度のアレンジになる。イチから人気になるようなオリジナル曲を作るのは、手間やお金が見合わないので敬遠されやすい」

 業界は有名曲のイス取りゲーム状態か。今日も同じ楽曲で違う商品のCMがテレビから流れている。