小泉八雲記念公園には八雲の生涯を紹介する碑や胸像
ちなみに、東京で最初に住んだ富久町の跡地は、現在は成女学園という女子校の敷地になっており、小泉八雲旧居跡の案内板が建っている。例年、東京マラソンがスタートして10分後くらいにカメラに映る地域だが、八雲がその風情を好んだという寺・自証院は今も学園の向かいにある。
転居した大久保の家は、コリアンタウンの外れに当たる。跡地には現在、区立大久保小学校が建っていて、小泉八雲終焉の地碑が見られる。そして徒歩1~2分のところには、小泉八雲記念公園という、それなりの広さの公園がある。
ここには八雲の生涯を紹介する碑や胸像、故郷のレフカダ島を描いたタイル舗装などが設置されているだけでなく、真白い石の円柱が並んでいたり、色とりどりの花壇があったりと、どこかギリシャをイメージしした構造になっている。
先日、私が主催する歴史散歩の会で現地を案内した時は、「なぜ、こうしちゃったのかな……」と、唐突なギリシャ風に首を傾げる参加者もいた。確かに怪談を始め、和の文化を愛した八雲なので、そちらに寄せた公園にした方がしっくり来たかもしれないが、他ではあまり見ないギリシャ風もチャレンジングで、私は案外嫌いではない。
ただ、この公園は本当に知名度が低い。『ばけばけ』放送中だから、さすがにたまには観光らしき人を見かけるが、基本的には近所で働いている会社員やOLが息抜きに来ていたり、八雲像の前にホームレスの人が陣取っていたりする。
新宿区も絶好の観光誘致のチャンスだったはずだが、あまりに期間が短かったのか、松江市長役の佐野史郎を招いた朗読劇を区民ホールで開催したりする程度で、うまく観光に結びつけられなかったようだ。
新宿区民としては何とも「うらめしい」ことだが、トキのように「あははー」とごまかし笑いをして、これはこれで仕方ないと思うしかないのかもしれない。
八雲も自分の家の周りがコリアンタウンになろうとは思いもしなかったはずだが、ここから人力車に乗って早大に通ったのかな、などと想像すると楽しい。あいにく現地で八雲グッズなどが買えるわけでもないが、興味がある方はぜひ訪ねてみてほしい。
そして私が今、密かに期待しているのは、近年、他の朝ドラがスピンオフや劇場版を制作しているように、『ばけばけ』も東京編でスピンオフや続編などを制作してくれるのではないかということだ。そのために8年分もの東京でのエピソードをほぼ残しておいたのだとすれば、このアンバランスな配分にも納得が行くのだ。
















