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ー 150億円の「回収は見えてくる」

 3月15日、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準々決勝。前回大会優勝の侍ジャパンはベネズエラに敗れ、ベスト8で姿を消した。その直後、Xでは《ネトフリ解約》がトレンド入りした。

150億円の「回収は見えてくる」

 今大会、動画配信大手のNetflixは、150億円を投じて日本国内での独占放映権を獲得したと報じられている。

「前回の2023年大会の約30億円から5倍に跳ね上がった金額。これでは民放は太刀打ちできない。日本テレビは中継に関わりましたが、制作受託という事実上の“下請け”でしたね」(テレビ局関係者)

 巨額投資を行ったものの、日本は優勝どころかこれまでで最低の成績で大会を終えた。産経新聞グループの調査によると、NetflixでWBCを視聴した層のうち“大会に合わせて契約した”という人は4割強に上った。

 そのような状況で起こった“解約ドミノ”。巨大な資本とコンテンツ力を持つNetflixは、日本のエンタメ界において黒船的存在だが、WBCに関しては“大損では?”という声も上がっている。

「正直なところ、解約が続くのはネトフリにとって想定内の話。準々決勝敗退は“ちょっと早かった”程度でしょう。決勝まで進めば国内の視聴熱はさらに高まったでしょうが、契約期間が少し延びるだけ。月額課金モデルのサブスクにおいて、この程度は誤差に過ぎない」(ITジャーナリスト、以下同)

 日本経済新聞の試算によれば、Netflixの2月の利用者は前年より約300万人増。

「新規の300万人のうち、仮にその9割が月額890円と最安の広告つきプランに入ったとする。ネトフリは“WBCファン”を狙うかのように初月498円のキャンペーンを行いましたが、この初月で約13億円。翌月から通常価格になれば約24億円。これに広告なしプランの契約者の月額料金も加わります」

 アメリカの調査会社によると、Netflixも含めた動画配信サービスの平均契約期間は約20か月といわれている。

「解約率を高めに見積もっても、ネトフリは1年以内に150億円の回収は見えてくるのでは」

 日本はテレビの力が大きく、映像コンテンツは“タダ”という意識が根強い。

「今回のWBCでは“見られないのはおかしい”と怒りの声が上がる一方で、“放映権料が高騰しているんだから有料は仕方ない”“自然な流れ”と認める声も多かった」

 現に海外サッカーを筆頭に多くのスポーツは、すでに課金しなければ見られないものばかりだ。

「ネトフリの目的はWBCを見せることでも、それで稼ぐことでもない。本丸は“見たいもの(スポーツ)には金を払う”という意識を日本の一般層に植えつけること。彼らは放映権料だけでなく、コンテンツ制作にも民放ドラマでは考えられない額をつぎ込んでいます。そこで生まれるのが『地面師たち』などのヒット作です」

 時代は変わった。コンテンツにお金を払うか払わないか、解約か否か、選ぶのは消費者だ。