告知後すぐの不安と抗がん剤の苦しさ

 2冊の著書を出版してからは、SNSで相談を寄せられることも増えた。

「がんを告知されてすぐの方からの相談が、いちばん多いですね。『これからどんな治療をするか全くわからなくて不安』という相談です。告知された当初はそうだと思いますが、治療方針が決まれば、気持ちは少し落ち着くと思います。

 そして治療が終われば、元の生活に近い形に戻れる方も多いです。私も今は、とても元気です、なんて返事をしています」

 また、「抗がん剤がすごくつらい、そんなときはどうしていましたか」といった、治療中の人からの相談も多いという。

「抗がん剤治療は、もう本当にきつくて苦しいので、『頑張ってください』とは言わないようにしています。だって、もう十分に頑張っていますから。乳がんの場合、抗がん剤投与の回数がだいたい決まっているので、その期間を何とかやり過ごせば、次のステップに進めることが多いと思います。

 私も、つらいときは布団から出られませんでした。それが過ぎてしまえば、またいつものように動けるようになるはず。私は、投薬後の3日間は動けず、そのあと2日ぐらい家でおとなしく過ごすことが多かったです。そして回復したら、仕事に行っていました。だから、どんなに苦しくても、ちゃんと終わりはある。苦しい期間を、何とかやり過ごしてください、と伝えています」

マンガイラスト/夢野かつき(『乳癌日記』『続乳癌日記』より 廣済堂出版)
マンガイラスト/夢野かつき(『乳癌日記』『続乳癌日記』より 廣済堂出版)
【写真】自身の体験を基に描いた漫画・『乳癌日記』

 夢野さんと話していると、ポジティブさに驚かされる。そのエネルギーは、一体どこから湧いてくるのだろうか。

「もちろん私も、がんと告知されたときは、『がんになっちゃった、どうしよう。死んじゃうかも』と思いましたが、主治医の話をきちんと聞いて、『ちゃんと治る病気ですよ』と言ってもらえて、じゃあ頑張ろうと思えてきたという感じです。

 でも人生って、いろいろなことがありますよね。病気だけではなく、家族の問題だったり、いろいろなことが起こって、誰の人生にも何かしらのトラブルがあると思うんです。だから、がんも、人生で起こりうる出来事の一つと、私は考えるようになりました。そう考えると、トラブルの一つに、そんなにネガティブになることもありません。これまでちゃんと乗り越えてこられたんだから、病気も克服できるんじゃないかと思うんです」

 最後に、読者にポジティブなメッセージをぜひ!

「闘病中の人もそうでない人も、がんは怖い病気だと思います。でも早期発見、早期治療で、思ったよりも大変じゃないというケースもありますし、私のようにがんが転移していても、治療で寛解することだってあります。

 だから、ストレスをできるだけ減らして楽しく過ごしてくださるといいのかなと思っています」

教えてくれたのは…夢野かつきさん
1975年、千葉県生まれ。2015年に乳がんになったことをきっかけに闘病記を描き始め、2020年に『乳癌日記』を刊行。2025年には、友人の膵臓がんと乳がんの体験をもとにした『続乳癌日記』を上梓。医療系サイトや医療企業にて、がんに関連する漫画やイラストを執筆するなど、精力的に活動中

取材・文/池田純子