目次
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ー “子どもたちに「母の味」を残したい”
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ー 8人家族の食卓で育まれた“食べること”への愛 ー モーニング文化の街で芽生えた「いつか喫茶店を」
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ー 震災をきっかけに15か国を巡って
Page 4
ー 福岡で喫茶店開業。見つけた安住の場所
Page 5
ー 「ALSしかない」恐怖と絶望の中で︱
Page 6
ー 福岡へ引っ越し
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ー 残したいレシピ本の制作
Page 8
ー 「楽しいことが好きだから」希望を持ち続ける︱

“子どもたちに「母の味」を残したい”

 帯にこう記されたエッセイ&レシピ集『もしもキッチンに立てたなら』(徳間書店)が話題を呼んでいる。副題は『難病ALSのママが綴るいのちのレシピ』。著者は福岡でオーガニック喫茶店「Sounds Food Sounds Good」を営む1男1女の母、はらだまさこさんだ。2023年にALS(筋萎縮性側索硬化症)の診断を受け、失意の中、子どもたちに自分の味と記憶を残したいと、不自由な手でレシピを書き始めた。

“子どもたちに「母の味」を残したい”

まさこさんの思いが詰まったレシピ本『もしもキッチンに立てたなら』(徳間書店/1870円)。「希望のレシピ」が詰まっている ※写真をクリックするとAmazonの購入ページにジャンプします。

 3月に放映されたTVQ九州放送『ザ・ドキュメンタリー「君にもう一度、手料理を〜難病ALSと闘う母のレシピ本〜」』はTVerの報道/ドキュメンタリー部門でランクイン。新聞やテレビ、雑誌など、多方面からの取材も殺到し、今、とても注目が集まっている。

 ALSとは、徐々に手足が動かなくなり最後には呼吸も困難になる進行性の難病で、治療法がまだ確立されていない。食べることと料理することが何よりも好きなまさこさんだが、肩から下が思うように動かせなくなった今、家族の食事やお店のメニューを調理することはできない。

「キッチンに立てなくなったことがいちばんツラい」と言う生粋の料理好きが、それでも「できない中のできることって何だろう」と前を向いて生きることを決め、この本を完成させた。

 難病とともに生きる葛藤や未来への希望、そして家族や料理への愛が綴られたエッセイ。そして、数十品あるレシピの中から選ばれた17品には、お店の看板メニューや家族が好きな料理、子どもに作ってあげたいお弁当などが並ぶ。

「レシピは自分のルーツになるものを中心に選んだんです」

 と言うまさこさん。その原点から現在に至る道のりをたどってみよう。