8人家族の食卓で育まれた“食べること”への愛
生まれたのは1981年、愛知県豊橋市。実家は、父が経営する車の整備工場の一角にあった。祖父母、両親、4人きょうだいという8人家族。食事どきには工場の従業員2〜3人もよく加わり、大衆食堂のようなにぎやかさだった。母と祖母が食事を切り盛りする姿を見ながら育ったまさこさん、小学校の調理実習なども好きだったのかと思いきや、「このころは、食べるほうが好きでした(笑)」と。ただ、
「子どものころは、料理の仕事に進みたいという気持ちは特になかったと思うんですけど、最初の夢はパン屋さんでした。幼稚園のころで、パンケーキの絵本が好きだったのを覚えています」(まさこさん、以下同)
いちばん古い自作料理の記憶はチャーハン。
「たぶん小学校4年生くらいですね。近所のおばさんが作り方を教えてくれて、よく作ってました」
きょうだい構成は、全員2歳ずつ違いの4きょうだいで、まさこさんは長女。「ずっと外で遊んでいる子どもでした」と振り返る。現在、福岡でまさこさんを支える3女のみちこさんは、「小さいころから、しっかり者でみんなのお世話を焼いてくれる姉でした」と言う。
「思い起こすと、常にそばにいてくれる存在でした。きょうだい4人がいつもお互いを気にかけて助け合える、大切でかけがえのない関係だと思います」(みちこさん)
中学でお菓子作りに開眼。きっかけは友達が教えてくれたチーズケーキだ。そこにアレンジを加え、試行錯誤から生まれたのが「まっくろバスクチーズケーキ」。今では喫茶店の看板メニューで、本にもレシピが掲載されている。
モーニング文化の街で芽生えた「いつか喫茶店を」
高校に進むと喫茶店でのアルバイトをスタート。
「母から、同じ校区内にある喫茶店でアルバイトを探していると聞いて始めたんです。バイト仲間もみんな中学の同級生だし、ご近所さんがお客さんとして来店されたりして、とても楽しかったですね」
名古屋圏名物として有名な“モーニング文化”は、豊橋でも盛ん。朝の時間帯にコーヒーを注文すると、トーストやゆで卵、サラダなどがついてくるという文化だ。バイト代を手にすると、いろいろな喫茶店のモーニング巡り。サービス満点で美味しいモーニングセットは、後に福岡で開店する自身の喫茶店に大きな影響を与えた。
「私も、夫に心配されるほどサービスをしてしまうタイプで。サービス精神旺盛な豊橋人の血を受け継いでいるのかもしれません(笑)」
高校を卒業すると、グラフィックデザインの専門学校に進学するために上京。趣味は休日のカフェ巡りだった。お店を持ちたいという夢は、このころから?
「実は全然覚えていないんですけど、専門学校のときの友達に、ずっと“自分の喫茶店をやりたい”と話していたみたいで。実際にオープンしたとき、“夢を実現できたね”と言ってくれたんです。自分では忘れちゃってたのに(笑)」


















