目次
Page 1
ー 雇用形態の変化が生んだ単身世帯の増加
Page 2
ー 子どもが経済的に自立していないと共倒れに
Page 3
ー 子どもや友人など良好な人間関係を構築

 2026年のいま、100歳超の高齢者は珍しくなくなった。昨年9月の段階で9万9763人になり、10万人の大台に乗ろうとしている。

 わずか4152人しかいなかった1992年に比べ、約24倍まで増加。「人生100年」が当たり前の時代に突入したといえるだろう。

 その一方、バブル崩壊から現在に至るまで経済は停滞。賃金も上がらず、物価高が生活を直撃。食料品も満足に買えないと嘆く高齢者もいる。この「失われた30年」を背景に現在、「単身リスクが高まっている」と、家族社会学の第一人者・山田昌弘教授は話す。

雇用形態の変化が生んだ単身世帯の増加

「単身リスクとは、『人生100年時代』の単身者に起こりうる、経済的、精神的リスクを指します。伴侶に先立たれたり、生涯独身であるなど、単身世帯が増加するいま、対処すべきリスクなのです」

 残念ながら、「人生100年時代」の到来は、厳しい時代の始まりかもしれないのだ。

「1980年代の日本社会は経済的に豊かで、正社員として就職したあと、結婚して子どもを持ち、自宅を購入して定年退職するのが一般的な人生コースでした。

 ところが、不況続きの30年間で社会は大きく変貌し、仕事のあり方が以前とはまったく異なってきています」(山田教授、以下同)

 山田教授によれば、戦後に定着した終身雇用という働き方が大きく変化したという。勤続年数によって自動的に賃金や役職が上がった時代は、安定した人生を送れる人も多かったが、いまは成果主義が主流で賃金も実力次第。働けどいっこうに賃金が上がらなかったり、不況の影響で会社が倒産するということもある。人生が予測不能になり、結婚も、子どもを持つことも当たり前ではなくなっている。

「1990年代以降、企業が新卒採用の数を減らしたことで、就職氷河期世代が生まれました。正社員になれず、非正規雇用で働かざるを得ない人も出てきた。その当時の若者がいまや50代に差しかかろうとしています。

 職が安定せず、収入にも不安があるため、子どもはおろか、結婚をしていない人も多くなりました。そのような状態で親が年をとり、今度は親を介護する必要に迫られている。親子ともども経済的に破綻したり、健康を害してしまうケースもみられます。なんとか親を看取ったとしても、今度は自分が一人の老後に備えなければならない。リスクは続くのです