子どもが経済的に自立していないと共倒れに

 日本独自の“家族”のあり方も、単身リスクを高める要因になっているという。

「子どもが成人したあとでも、親が子離れできずに金銭的な援助をしている家庭もあります。また離婚して実家に戻り、再び一緒に生活するケースもあるようです。反対に、高齢になって子どもの世話になったり、介護の負担を担わせたりすることもあります。このように日本では、家族でお互いに助け合うのが当然という考えがあるのです。

 この考え自体は悪いことではないのですが、子どもが親をいつまでも頼って暮らしている場合、親に経済力がなくなれば共倒れになってしまいます。しかも、100歳まで生きるとなると、多くの親が自分の老後の生活を維持するのに精いっぱいになるでしょう。子どもの生活まで賄うのは、とてもむずかしい。

 子どもが経済的に自立していないと、子ども自身の単身リスクが高まるだけでなく、親自身の単身リスクも高まるわけです

 生活ができなくなったら、公的制度に頼る方法もあるだろう。しかし、日本の社会保障制度は家族単位になっているため、親と同居している無職の子どもは生活保護を受けることができない。たとえ別居していても、親に少しでも経済援助ができると判断されれば、生活保護の申請が下りることは少ない。

 このように「家族」単位の考え方が定着している日本に対し、欧米諸国は「個人」単位で考えるのが一般的だと山田教授は言う。

「ヨーロッパやアメリカなどでは、子どもが成人したら家を出て経済的にも精神的にも自立するのが当たり前と考えられています。もし生活に困窮したら、親に頼るのではなく、国の社会保障に頼ります。西ヨーロッパ諸国は社会福祉が日本より充実していて、若者や高齢者、社会的弱者へのセーフティーネットがしっかり構築されています」

 終わらない親への経済的依存は、日本独自の課題というわけだ。