天皇制そのものの必要性を問う議論が生まれる可能性も

本来、この協議は平成29年の『天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議』に基づいているはずです。その決議には『安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題である』と明記されていることを忘れてはなりません」(所名誉教授、以下同)

 約10年前に危機感を持つように示された問題が事実上、棚上げされているのが現状。

ところが、その後の政府では、安定的な皇位継承と女性宮家の創設という大切な命題を棚上げして、皇族数の確保という“小手先の対応策”に矮小化しています。そうであるならば、せめて1案の皇族女子を当主とする宮家を創設し、その夫も子も皇族の身分にして皇族数の確保をはかり、皇族としての公務をしていただけるようにすることが急務だと思います

 今回の中道の見解では、他党派と同様に「悠仁さままでの継承を揺るがせない」という記述が明記された。

「立憲民主党などは、これまで女性天皇の容認を掲げてきたこともあり、愛子さまが天皇になることを望む国民の受け皿となってきました。しかし、今回の明記により、その可能性が薄まったといえます」(前出・皇室担当記者、以下同)

 各党の意見がまとまる中でも、愛子さまの即位を望む国民の声は根強い。

今年3月の毎日新聞の世論調査では女性天皇に賛成する声は61%に上り、昨年12月の読売新聞でも69%という高い賛成率を得ています。週刊誌やネットニュースでも連日“愛子天皇”をテーマにした特集が組まれるなど、国民の関心は非常に高いのです」

 しかし、15日の会議では、こうした国民の声が反映されることはなかった。

今回の中道の見解により、愛子さまが天皇になる道は閉ざされつつあるといえます。国民の意見との乖離は無視できない問題です。国会議員が皇室の将来を真剣に考えていないのではないか、と思われても仕方ありません。こうした不信感から、天皇制そのものの必要性を問う議論が生まれる可能性も十分に考えられます」(河西教授)

 国民が望む皇室の姿を、政府は実現できるのだろうか。

所 功 京都産業大学名誉教授。日本法制史・皇族文化史などを専門とし、近著には『天皇の歴史と法制を見直す』『「天皇学」入門ゼミナール』(共に藤原書店)など

河西秀哉 名古屋大学大学院人文学研究科教授。象徴天皇制を専門とし、『近代天皇制から象徴天皇制へ―「象徴」への道程』など著書多数