“命を削って記録を競う”構図
こうした声が寄せられる背景を、ドーピング問題に詳しいスポーツジャーナリストが指摘する。
「トップアスリートにとって“世界記録”は人生を変える価値があります。そこへ数千万円、さらに1億円超の報酬が加われば、身体へのリスクを承知で挑戦する選手が出てくるのは当然でしょう。特にステロイドや成長ホルモンは、短期間で筋力や回復力を向上させる一方、心臓や肝機能への負担、ホルモンバランスの崩壊など深刻な副作用も指摘されています。今回の大会は“スポーツの進化”として注目を集める一方で、“命を削って記録を競う構図”に見えてしまう危うさもあると思います」
世界記録を更新し、レポーターからインタビューを受けるゴロメエフ選手(『EnhancedGames(エンハンスト・ゲームズ)』公式Xより)
実際、この大会は世界アンチ・ドーピング機構(WADA)から強く批判されてきた。
「“医療管理下なら安全”という主張に対しても、長期的な健康被害や依存リスクは未知数だと指摘されています。経済的に厳しい選手ほど危険な挑戦を選びやすくなるため、“新しいスポーツ格差”だという声もあります。さらに今回、ある意味で皮肉だったのは、競技によっては薬物を使っていない選手が上位に食い込んだことです。ネット上では“ドーピングや違反水着を使っても僅かな記録短縮にしかならない”“ドーピング関係ないってなりそう”という声も広がりました」(同・スポーツジャーナリスト)
“人類の限界突破”という名のもとに、スポーツがどこまで倫理を超えていくのか──。今回の“ステロイド五輪”は、単なる話題性だけでは済まされない重い問いを、世間に突きつけているのかもしれない。

















