死別した最愛の人への想いとともに、紗文はある事情を抱えたまま創とイギリスの南東部にある海辺の町・ダンジェネスへと向かう。

中学生のころからデレク・ジャーマンというイギリス人の映画監督の作品が好きで、ビデオを借りて夜中によく見ていたんです。ダンジェネスは彼が人生の最後を過ごした場所で、ずっと行ってみたかったところ。

 とはいえロンドンからも遠くて女性一人ではハードルが高く、誰かを気軽に誘えるような場所でもないので、先延ばしにしていて。コロナ禍で、『行きたい場所にいつでも行けるわけではない』ということに気づき、今回の小説の依頼をいただいたことで『ダンジェネスを書こう』とようやく決めて、2023年に行ってきました」

世界の果てまで旅をしてもらえたら

 物語の中で、ダンジェネスは「イギリスの果ての田舎町」と表現されている。

読者の方は日々、仕事や家事などに忙しくしていらっしゃると思うのですが、この小説の中で主人公たちとともに世界の果てまで旅をしてもらえたらうれしいです

最近の島本さん

4年ほど前にベリーダンスを習いはじめ、最近はチャットGPTのアドバイスのもと、筋肉をつける食事を心がけています。若いころは運動していたものの、ここ数年は筋力に自信がなかったのですが、先日、友人たちとボルダリングに行ったときに、男性に交じって頂上まで登ることができたんです。ダンスのレッスンや食事管理の成果を実感しました

ノスタルジア』島本理生 河出書房新社 税込み1870円 ※画像クリックすると、Amazonの購入ページにジャンプします。
【写真】今作も映像化確実?人生の可能性を描いた島本さんの最新作

取材・文/熊谷あづさ

島本理生(しまもと・りお) 1983年、東京都生まれ。2001年『シルエット』で、群像新人文学賞優秀作を受賞しデビュー。2003年『リトル・バイ・リトル』で野間文芸新人賞、2015年『Red』で島清恋愛文学賞、2018年『ファーストラヴ』で直木賞を受賞。そのほか、主な著書に『ナラタージュ』『夏の裁断』『イノセント』『あなたの愛人の名前は』『夜はおしまい』『2020年の恋人たち』『天使は見えないから、描かない』などがある。