不要な故人の入浴で36万円

 佐藤氏のもとにはこのような相談が多数寄せられている。次もその一例だ。

 葬儀において「湯灌」というものがある。故人の身体をぬるま湯などで清め、死に装束を着せ、化粧を施す儀式。故人を清らかな姿で送り出すための伝統的な作法だ。そこで……。

「某葬儀業者は、『生きている人も毎日お風呂に入りますよね』というセールストークで、遺体を毎日湯灌することを提案。1回9万円×4日間で合計36万円を請求したとのことです」

2万円ほどの人件費のメイクを雇い、10万円を請求するような業者も……(写真はイメージです)
2万円ほどの人件費のメイクを雇い、10万円を請求するような業者も……(写真はイメージです)
【写真】2万円ほどでメイクを雇い、10万円を請求する悪徳業者も

 佐藤氏によれば、死亡後は汗や皮脂の分泌は止まるため、毎日お湯をかける必要性は科学的にも薄い。また、ドライアイスや冷蔵安置で腐敗を抑えている遺体を繰り返し温め、移動させる行為は、体液漏出や皮膚の弱化を招き、かえって腐敗を促進するおそれがある。

 そのため病院でのエンゼルケア(清拭)や家族による簡単なタオル拭きで十分な場合が多く、プロの湯灌は火葬直前の1回が標準的。すなわち不要なものを3日分追加された形だ。

プロが見ても意味不明なことを見積書に入れてくる業者がありますが、意味不明なだけでまだマシという世界。遺体については一般の方は皆さん不慣れです。ましてや亡くなられてすぐの正常な判断が難しい状況。

 そこで『においが出ますよ』『お父さん、かわいそうじゃないですか』などと言って料金を上乗せ。遺体を盾に取るような商売は絶対にやってはいけない。遺体を盾に取れば、正直葬儀業者はいくらでも不安商法が可能なわけです

 今、なぜトラブルが増えているのか。

「トラブルの増加は、正直なところ、亡くなられる方が増えていることによる自然増によるものです。葬儀が増え、一定数でトラブルがある。しかしその内情は変わっています。急速に増加しており、かつ悪質化している」

 悪徳業者はあの手この手を使うので、ハウツー的な指南は意味をなさない。とはいえ、それを避けるためには……。

「多くの人が参列者の少ない小さな葬儀を選ぶようになりました。それによって葬儀の“体験”が少なくなっている。以前は自身の体験や近しい人からの評判をもとに葬儀業者を選んでいましたが、体験がないため、ネットで探す。

 ネットで集客をしている業者は耳目を引くために、安い金額を謳います。そこには多額の広告費がかけられており、回収するために、実際の金額はその何倍にもなる