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ー 渡英18年が語るイギリスが停滞したワケ
ブレグジットについて批判をする落書き

日本社会の現状に、「遅れてる! 海外ではありえない!」なんて目くじらを立てている人もいますが……。いえいえ、他の国の皆さんも有名人や王室のゴシップや下ネタは大好きで、若者はおバカなことをしでかすし、高齢者は変なこだわりで周囲を振り回すし、しょーもない男女のケンカも日常茶飯事なんですってば! そんな、「衝撃」「笑える」「トホホ」がキーワードの世界の下世話なニュースを、Xで圧倒的な人気を誇る「May_Roma」(めいろま)こと谷本真由美さんに紹介していただきます。人間の思考回路や行動なんて、基本は一緒なんです!

渡英18年が語るイギリスが停滞したワケ

 私が渡英したのは2008年。早いもので、もう18年が経過しようとしています。当時は、2012年に開催されるロンドン五輪の影響もあって、好景気に沸いていました。中間層が高級家具を買ったり、バカンスで散財することも珍しいことではなく、ブランド品を身に着けている人も多かった。ですが、時代は遠くなりにけり。

 私が思うに、イギリスが停滞、減速してしまったターニングポイントは3つ。

 まず、1つ目がEUから離脱したブレグジットです。「移民を受け入れるべし」という欧州の号令に反旗を翻す形でイギリスは離脱したわけですが、結果、EU諸国からの関税が引き上げられたため、物価が上昇。しかも、そのかわりに移民を止められるはずだったのに、フランスから大量の移民が流入……。フランス政府も見て見ぬふりで、結局イギリスはハズレくじを引くことに。

 そして2つ目がコロナ禍。イギリス政府は日本とは比較にならないほど厳格なロックダウンを実施しました。生活様式が一変したことで、住民のストレスもピークに。日常的に勃発する暴動騒ぎが、連日メディアを騒がせていました。

 おまけに医療体制も貧弱で、イギリスはMRIとCT検査装置の数が先進国の中でも圧倒的に少なかった。日本のCT台数はOECD(経済協力開発機構)加盟国平均の4倍以上、MRIは3・3倍あるのに対し、イギリスは平均の半分以下という水準です。検査もままならないから、状態が悪化し、まともな処置を受けられずに亡くなった人も大勢いるんですね。政治不信にならないほうが無理がありますよ。

 最後の3つ目が、ロシアによるウクライナ侵攻です。天然ガスや石油価格の高騰により、イギリスの家庭、企業のエネルギーコストが急騰。ウクライナとロシアは穀物輸出大国ですから、供給途絶で食料価格も上昇しました。急速にインフレが進んでしまう中で、当時のスナク首相率いる保守党政権はうまく舵取りができなかった。

 結果、2024年7月の総選挙で歴史的な大敗を喫し、最大野党の労働党が地滑り的勝利を収め、14年ぶりに政権交代が起きたというわけです。

 ところが、労働党も次から次へと身から錆が出ていき、先の地方選挙で大敗。労働党と保守党の二大政党に見切りをつけたのは、3つの転換点を体験した国民からのアンサーだと私は思っています。国民はきちんと見ているんです。

谷本真由美 たにもと・まゆみ 1975年、神奈川県生まれ。著述家。元国連職員。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。X上では、「May_Roma」(めいろま)として舌鋒鋭いポストで人気を博す。著書に『世界のニュースを日本人は何も知らない』シリーズ(ワニブックス【PLUS】新書)など著書多数

構成/我妻弘崇