北村は自分の出演シーンがなくても、生徒役の俳優の芝居を現場やモニターで見ていたという。
北村にとっての3人の恩師
「朝野という人物は近すぎず遠すぎず。だからこそ、バックグラウンドでどうするかは、とても大事だと思ったので。気を抜く瞬間がない。なんか、それが楽しいですね」
生徒役の俳優たちに、北村がよく言っていた言葉があるという。
「“今、正解をつかむ必要はない”。『サバ缶、宇宙へ行く』を経て、次の作品につながる気づきを与えてあげたいというか、一緒に作っていきたくて。ある意味、役者としてのきっかけの作品になってくれたらうれしい。
自分の納得いく芝居ができなくて悩んでいる子も、それでよくて。短期間で劇的によくなるとかではなく、やっぱり長期スパンで自分がどういう作品や人と出会っていくのかが大事だから」
“どうやったら芝居がうまくなりますか?”という質問もよくされたという。
「芝居がうまくなるには、絶対に人生経験。人生を感情豊かに生きないと、僕は芝居につながっていかないと思うから“とにかく人生楽しく生きよう、それしかないよ”って答えていましたね。
そういう会話が僕にとってもすごく有意義で。今までこんなふうに自分の芝居について言語化することがなかったから、僕も生徒たちに成長させてもらっているなと感じていました」
子役から演技を続けてきた北村には、3人の恩師がいる。映画『ブタがいた教室』('08年)の妻夫木聡、『鈴木先生』シリーズ(ドラマ'11年、映画'13年)の長谷川博己、ドラマ『仰げば尊し』('16年)の寺尾聰。
当時、受け取ったものを、今作の生徒たちに伝えられているかと尋ねると、
「『ブタがいた教室』のとき、僕は小学生でした。台本がなく、ドキュメンタリーに近かったですね。大人キャストには台本はあったんですが、妻夫木さんもアドリブで僕らと会話する瞬間がたくさんあって。
そういう生徒との距離感は印象的でした。それこそ、朝ドラ『あんぱん』('25年)で再会したとき、妻夫木さんの周りには子どもたちがたくさんいて、接し方が全然変わっていなかった。生徒や後輩との距離感っていうのは、知らず知らずのうちに妻夫木さんのようになっている感じもします。
長谷川さんは当時、会話で関係性を築く方ではなかったけど、芝居において“教師としてかますべきときにはどうするか”ですね。そこは、長谷川さんの影響を受けていると思います。
寺尾さんから直接もらった言葉は、僕は1期生に伝えています。僕がこの役者人生20年の中で大事にしてきたことを、生徒役のみんなには渡したので。そのうえでみんなが何を大事にしていくのか。僕はもう見てるだけですね」

















