共演者、スタッフ、誰もが魅了される人柄
舞台に邁進する日々が続くが、プライベートのほうはどうなのだろう。結婚願望はというと?
「もちろん結婚願望はあります。人生を豊かにしてくれる選択肢のひとつだと思っていて。私自身、専業主婦の母がいて、きょうだい3人のごく普通の家庭だったので、当たり前のように自分もいつか結婚するものだと思っていたんです。だけど退団して、学校にも通い、女優をすることになり……、という間にどんどん時は流れて。努力しないと、結婚ってできないんですね(笑)」
ちなみに、お相手に求めるものは? 身長は自分よりも高いほうがいい?
「そんな条件はまったくないですね(笑)。あまり気負わず、自分らしくいられるお相手が理想。年齢に関係なく、素敵な出会いがあればと思っております」
退団後20年間、途切れずステージに立ち続けてきた。役者としての実力はもちろん、共演者、スタッフからの信頼も厚く、湖月をよく知る人々は何をおいてもその人柄を讃える。
「同期として、もう誇らしいですね。ここまでやってきたのは並大抵じゃないし、すごいと思う。彼女自身の努力はもちろん、人柄もあったと思う。明るくて本当にいい人。音楽学校時代からそれはまったく変わらないですね」(前出・大夏さん)
後輩の柚希は、昨年『マイ フレンド ジキル』で湖月と退団後初共演を叶えている。そのときの印象を、
「いまだにわたるさんとお会いするたび感動するんです。人への気配りがすごい。共演者にスタッフさんまで、みんなでひとつの作品をつくっているんだという思い。そして、作品を通してお客様に愛を伝えようとする姿。それに私はいつも感動していたんだなって、改めて思いました」
と、口にする。退団20周年を迎えた今年、11月に記念公演『TUMBLEWEED』を古巣の宝塚バウホールほか、東京、名古屋で上演。柚希ら元宝塚スターをゲストに迎え、湖月は振り付けにも挑戦する。この秋には振り付け修業のため、ロンドンへ渡航予定だ。恩師の尚先生は彼女のよき理解者で、本公演を楽しみに待つ1人。
「宝塚音楽学校112年の歴史で生徒は約5000人いるけれど、その中でも彼女は生粋の宝塚っ子。ダンスが好きで、宝塚が好き。いろいろなことに挑戦しながら20年という月日を経て、そこで得たものを同じ宝塚の舞台で見せる。それは懐かしい思い出以上に難しいこともいっぱいあると思う。その覚悟はうれしいをはるかに超える、大変なことだと思います。信念をつらぬく子で、そこは昔から変わらないし、これからもずっと変わらないでしょうね」(尚先生)
宝塚を去り、男役に別れを告げても、宝塚との縁は続く。『愛と青春の宝塚』をはじめとしたOG公演への出演に、『エリザベート』のガラ・コンサートまで、宝塚OGを代表する1人として、宝塚と関わる機会は今なお多い。
「宝塚を辞めたとき、一瞬身体がふわって軽くなったんですよね。重たいリュックを下ろした感覚でした。あのときは、宝塚との永遠のお別れだと思っていました。でも女優も経験し、年齢も重ねたからこそ、あのときできなかったこともできるかもしれない。歌舞伎の世界が一生かけて芸を磨いていくように、男役という芸も人生をかけて練っていく。これはまた新たな道で、それは思ってもいなかったことでした。
まだまだ夢のようなステージに立たせてもらっていて、こんなにも夢を与えてくれる。改めて宝塚に感謝だなって思います。夢がずっと続いてるみたい。今、舞台に向かっている瞬間がとても愛おしくて。20周年の節目を通った後には、どんな自分に出会えるか、また楽しみでもありますね」
取材・文/小野寺悦子 撮影/佐藤靖彦



















