目次
Page 1
ー 阿部暁子が感銘を受けた俳優たちの声
Page 2
ー 「愛される作品」の秘密が知りたくて
Page 3
ー 上昇気流に乗って一気に「本屋大賞」を
Page 4
ー 『カフネ』登場人物の気になるその後は?

 

 今も昔も作品が映像化されるのは人気作家の証しといえるだろう。阿部暁子の小説『どこよりも遠い場所にいる君へ』が情感あふれるアニメーション表現で劇場映画に。ふだんは地元・岩手県に住んでいるが、完成披露に立ち会うため上京した彼女に話を聞いた。

阿部暁子が感銘を受けた俳優たちの声

作家・阿部暁子(撮影/佐藤靖彦)
作家・阿部暁子(撮影/佐藤靖彦)

「見るのは2度目だったんですが、すごく丁寧に大切に作っていただいたと感じました。自分が書いた小説が元になっていることがだんだん頭から消えて、その道のプロが結集して作った素晴らしい作品だなと。

 あと今日は終わったときに拍手が起きたんです。あれを聞けたのが本当にうれしかったです」

 豊かな自然にあふれた離島を舞台に、ある秘密を抱える男子高校生・和希と「神隠しの入り江」に倒れていた謎の少女・七緒との出会いから始まる物語。お気に入りの場面を尋ねると、

「主人公・和希の過去が明かされるところです。小説は何か事態を動かすために、いちいち(文章で)描写をしなきゃいけないんですよね、絶対に。でも完成した映画では一切のセリフなしで、ピアノの音楽だけに乗せて描かれて、ぐっと胸に迫ってくるものがありました。これはもう映像の力、音楽の力だなぁって」

 俳優たちの声の演技にも感銘を受けたという。

「みなさん大切にそれぞれの人物を演じてくださっているのが伝わってきました。特に和希(声=石橋陽彩)の感情の繊細な揺れ。(しみじみと)すごいな〜って見とれていました。(高校生たちを見守る)高津(=玉木宏)は低音のイケボになって、すごくかわいいって思ったり(笑)」

 ヒロイン・七緒を演じた永瀬アンナは完成披露の舞台で、小説『どこ君』の熱烈な読者だったことを明かしていたが、

「すごくうれしいですね。原作が出版されたのは9年前ですが、中学生のときに読んでいた方が大人になって声優になっている。しかも“好きな作品が映画になってうれしい”と言ってくださって、本当に幸福なことだと思いました」