「最新の研究によって、身体のさまざまな組織や機能にエストロゲンが影響を与えていることがわかってきました。『こんなに多くの不調が!?』と不安に感じたかもしれません。でも、心配しすぎなくて大丈夫。更年期不調は治療できますし、社会の理解も少しずつ進んでいます。一緒に乗り越えましょう」

新常識2 不調の現れ方 

「年齢」以外にもストレス・人間関係が高要因に

 更年期は、大きな不調なく過ごせる人がいる一方で、重い症状に苦しむ人もいる。この違いを読み解くために寺内先生が用いているのが「BPSモデル」だ。

BPSモデルと更年期に重なりやすいストレス
BPSモデルと更年期に重なりやすいストレス
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「『身体的側面』はエストロゲンの激しいゆらぎです。『精神的・心理的側面』はストレスの大きさ。どのような環境で育ち、どのような性格が形づくられたかも影響します。『社会的側面』は人間関係です。こうした要因が重なり合うことで、症状の現れ方は一人ひとり異なります」

 更年期の症状は、年齢やホルモンだけで決まるものではない。身体の不調だけでなく、うつ症状が強く現れるケースもある。これらを理解しつつ、心の負担にも目を向けたい。

新常識3 女性ホルモンのメカニズム 

不調の正体は卵胞の減少によって起こる“脳の混乱”

 女性は生まれたとき、卵巣に約200万個もの卵胞を蓄えている。しかし卵胞は40歳ごろから急激に減少し、50歳ごろにはほとんどなくなる。エストロゲンは卵胞が成熟し、排卵する過程で多く分泌されるため、卵胞が減ると排卵が起こらなくなり、エストロゲンも分泌されなくなるのだ。

「エストロゲンをつくるよう卵巣に指令を出しているのは脳です。卵巣がエストロゲンを十分につくれなくなっても、脳はこれまでどおり“エストロゲンを分泌して!”と指令を出し続けます。しかし卵胞がほとんど残っていないため、その指令に応えられない。この“脳と卵巣のすれ違い”が更年期の不調の正体なのです」