費用の目安は50分〜1時間で1万〜2万円ほど。抗うつ薬などの薬物療法と併用することで、心の不調を和らげることもできる。また、今の自分の状態を客観的に理解し、認知のゆがみや考え方のクセを見直していく認知行動療法も、更年期の心の不調に有効な治療法の一つだ。

新常識10 骨と血管に注目! 更年期以降気をつけたい病気

更年期以降気をつけたい病気 イラスト/岡本典子
更年期以降気をつけたい病気 イラスト/岡本典子
【写真】約1.9億円! 更年期症状による国の経済的損失が凄すぎる

 最新の研究では、これまで老化現象と考えられてきた女性の臓器や組織の変化が、実はエストロゲンの減少の影響を受けている可能性があるとわかってきた。

 その代表が「骨」と「血管」の変化。どちらも自覚症状がないため、ある日突然起こるように思えるが、実際にはエストロゲンが減少し始めるころから静かに進行している。定期的に検診を受け、健康的な生活を心がけることが大切。

骨 骨粗鬆症

 エストロゲンが減ると、骨代謝のバランスが乱れ、骨量を一定に保てなくなる。これが進行したのが骨粗鬆症で、骨が弱くなり骨折しやすくなるため、要介護になるリスクを高めてしまう。

血管 動脈硬化

 エストロゲンの減少によって脂質代謝のバランスが乱れたりして、LDL(悪玉)コレステロールが増え、脂質異常症などが発症。動脈硬化が進み、命の危険を伴う病気を招くおそれがある。

未来の健康のために

生活習慣を見直して、健康寿命を延ばそう

 閉経後の約30年は、エストロゲンがほぼ出ない状態で過ごすことになる。ここで意識したいのが「健康寿命」だ。健康寿命とは日常生活を制限なく健康に過ごせる期間のこと。日本人女性の健康寿命は、現在75歳。

 平均寿命(87歳)との差である約12年は、介護などの助けが必要な期間といえる。毎日の土台となる「食事・運動・睡眠」の習慣を見直して、健康寿命をできるだけ延ばそう。

適度な運動

 適度な運動は肩こりや不眠などの不調を和らげ、ストレス解消にも役立つ。長く動ける身体を保つために、筋トレで筋力を、ストレッチで柔軟性を、有酸素運動で体力を維持しよう。

食事

 五大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル)のほか、骨粗鬆症予防に役立つカルシウム、エストロゲンに似た働きがある大豆イソフラボンを含む大豆製品もとりたい。

睡眠

 睡眠不足が続くと、自律神経が乱れ、注意力や判断力の低下、さらには物事を悲観的に考えやすくなる。心身をリラックスさせて深い眠りをとり、脳と身体の疲れをリセット。

『「更年期かな?」と思ったら最初に読む本』(主婦と生活社)

取材・文/満留礼子(羊カンパニー)

マンガ/たかはし みき イラストレーター、キャラクターデザイナー。「こげぱん」などのキャラクター原案を手がける。著書に『こげぱん 今日もパンやのかたすみで』『わたし、39歳で「閉経」っていわれました』(共主婦と生活社)など。

寺内公一先生 東京科学大学(旧東京医科歯科大学)大学院医歯学総合研究科茨城県地域産科婦人科学講座教授。産婦人科医。日本で数少ない更年期医療のスペシャリスト。更年期障害や骨粗鬆症など「ゆらぎ世代」の女性の診療に従事。