皇室典範の再改正に向け議論の余地は十二分にあり
「江戸時代、閑院宮家から即位した光格天皇が実父・典仁親王に称号を贈ろうとして幕
2026年4月29日、日本武道館で開催された昭和100年記念式典にご臨席された天皇、皇后両陛下
府と対立した『尊号一件』という政治トラブルがあります。今回、議論されている旧宮家養子案でも、その子どもが即位した際、養子となった父親の身分の扱いを巡って同様のトラブルが生じる懸念があります。こうした歴史的な経緯は、有識者が知識を提供し、説明しなければなりません」
皇室の将来について、国民が関与できることも少なくない。
「直面している最大の問題は、直系継承を続けることが物理的に困難になっている点です。皇位の正当性やルールも時代に応じて変化してきた歴史がありますが、現代の主権者は国民です。議論から国民が置き去りにされている感覚があるのは問題でしょう」
男系男子派の一部は、男系継承の根拠に“2600年の伝統”を主張しているが、冷静な視点が必要だという。
「政治家が主張する歴史と歴史的事実は別問題です。例えば“神武天皇以来の世襲”というのは学問的にはフィクションの領域で、それを事実とするのは危険でしょう。“伝統”という言葉をそのままうのみにするのではなく、それはいつの時代を指すか、事実に基づく検証が必要です。そもそも旧皇室典範の制定からはまだ137年であり、歴史的にも長くはありません。“伝統”が建前となる裏にどんな意図が隠れているか、考え続ける必要があると思います」
“改悪”とも批判される改正皇室典範。再改正に向け議論の余地は十二分にあり、主権者である国民のリテラシーも求められている。
河内春人(こうち・はるひと) 関東学院大学経済学部教授。明治大学大学院博士後期課程中退。史学博士。日本・東アジア古代史研究を専門とする。著書に『継体天皇 六世紀に現れた世襲王権の「始祖王」』『倭の五王』(共に中公新書)など


















