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ー 「宝探しにも似た楽しさがあります」
若村真由美

《「役者は、役をとったらただの者」と申します。ただの者として、さまざまな景色に身を置きながら、来し方行く末に思いを巡らせる時間にしたい》――。

 若村麻由美(59)が自身のSNSを更新。16年間所属した芸能プロダクション『トライストーン・エンタテイメント』との契約終了を発表した。

「宝探しにも似た楽しさがあります」

 来年に迎える俳優活動40周年の節目を前に、デビュー以来初となる長期休業に入り、《役を離れて旅に出ます》と宣言。

 さらに、《春の訪れとともに、新たな作品に向けて歩みを進めてまいります》と再始動を予告した。

 仲代達矢さんが主宰した『無名塾』出身で、1987年のNHK朝ドラ『はっさい先生』のヒロインでデビューした若村。

 フジテレビ系ドラマ『御家人斬九郎』では、妖艶な美しさを放つ芸者役で出演。ほかにも『白い巨塔』(フジ系)や『科捜研の女』(テレビ朝日系)シリーズなど、人気作品に出演を重ねて、その存在感を示してきた。今回の退所報道にネット上でも、

《時代劇でも現代劇でも引き込まれる日本屈指の実力派女優》
《気品があって息をのむほど美しい》

 と、若村の演技と美貌を絶賛する声があがった。多くの人が認める“大女優”の1人だが、華やかなスクリーンの裏側で、長年にわたって情熱を注ぎ続けてきた“もうひとつの顔”があった。

 富士山の樹海で陣頭指揮を執る“清掃隊長”としての活動だ。きっかけは1998年、NHKのロケでエベレストを望む標高5545メートルの山に挑んだこと。約1か月間、ヒマラヤの過酷な大自然に身を置いたことで、

《役者以外の自分は存在してなかったのに“私として生きるために役者がある”と初めて思えた》

 と、過去にインタビューで語っている(以下、《 》内はインタビューより)。

 帰国後、富士山の美しさに思わず涙がこぼれ、富士山が見える家に引っ越すほど魅了されたとも。そんなとき、登山家の野口健氏から聞かされたのが、

「富士山は外から見るときれいだけど、中は汚いんだよ、ゴミだらけだよ」

 という衝撃の事実だった。

《なんだか自分が汚されている気がして……。“あの美しい富士山をきれいにしなくちゃ!”と単純な気持ちで参加したのが清掃活動の始まりです》

 こうして2002年から富士山清掃に加わると、その活動を本格化させる。
野口氏がエベレスト遠征などで不在の際には、樹海を巡る“富士山清掃隊長”を任されるまでに。

《ごみ拾いは大変な作業ですが、発掘調査や宝探しにも似た楽しさがあります。例えば、昔のごみの層からはペットボトルがひとつも見当たらないことにハッとしたり、その時代の生活を感じることができます。みんなで大量に集めた達成感や爽快感もあります》

 ときにはアルミサッシやタイヤ、大量に投棄された便器、細かく切断されたケーブルまで、目を皿のようにして拾い集めた。

《捨てるのは一瞬でも拾うのは膨大な労力と時間がかかります。清掃活動のたびに、捨てた人たちにごみ拾いを体験してほしいと思います》

 自らトラックへの積み込み作業や分別も率先して行い、2024年の能登半島地震の際にも被災地へ寝袋を送る支援作業に汗を流すなどの行動力を発揮してきた。トライストーン会長の山本又一朗氏は、若村の退所に際して、

《作品に対する思い入れが人一倍強く、納得いくまで役の居場所を突き詰めていく……。あなたは、生き方においてもそうです》

 と、賛辞の言葉を贈った。役を脱ぎ捨て、ひとりの人間として自然と向き合ってきた若村。「旅」を経て、より深みを増した彼女が魅せる“次の景色”が待ち遠しい。