TBSの日曜劇場と激似

 もう1点は、多くの視聴者が感じている通り、作風がTBSの日曜劇場と激似なこと。

 原作が『半沢直樹』と同じ池井戸潤だから仕方ないところもあるが、会社組織の中で上層部や関係者に苦しめられながらも、難題を乗り越えていく社員たちの群像劇は日曜劇場の王道だし、物語の冒頭でナレーターがこれまでのあらすじをシリアスに説明する演出までそっくりで、日曜劇場に寄せているみたいだ。

 そこまでするからには、日テレが日曜劇場クラスの10%を超える視聴率を狙っていて、まだ届いていないのも事実だろう。

 だが、箱根駅伝界隈で繰り広げられる人間模様は見応えがある。中継には80か所以上カメラを設置し、局員たちが事前に箱根山中の中継ポイントを下見していることなど、豆知識も楽しい。視聴率も落ちていないので、最大で箱根駅伝の視聴率(20%台後半)だけパイがあるとすれば、10%超えは決して無理な数字とは思えない。

 日曜劇場は異色作の『VIVANT』を2クール連続放送中で、“名もなき市民たちの職場ドラマ”に飢えている視聴者が『俺たちの箱根駅伝』に流れてくる可能性は十分にある。

 では今後、視聴率上昇のカギとなるのは何か?

 4話まで見てきて感じるのは、社員たちの奮闘が十分面白い「テレビ局パート」に対して、学生連合を描く「選手パート」が、若干印象が薄いということだ。

 箱根駅伝ファンにとって、知らなかった中継の舞台裏を見られることは非常に面白い。それに対して選手たちの苦悩や葛藤は、実際の箱根駅伝を見ていてもある程度想像できることで、それを超える内容はまだ出てきていないように見える。

 今後選手パートの盛り上がりで、正月の箱根駅伝本番が近づくにつれて、さらに視聴率が上がっていくことを期待したい。

古沢保。フリーライター、コラムニスト。'71年東京生まれ。「3年B組金八先生卒業アルバム」「オフィシャルガイドブック相棒」「ヤンキー母校に帰るノベライズ」「IQサプリシリーズ」など、テレビ関連書籍を多数手がけ、雑誌などにテレビコラムを執筆。テレビ番組制作にも携わる。好きな番組は地味にヒットする堅実派。街歩き関連の執筆も多く、著書に「風景印ミュージアム」など。歴史散歩の会も主宰している。