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 『中国杯』公式練習中の衝突事故により、精密検査の結果“頭部挫創(ざそう)、下顎挫創、腹部挫傷、左大腿挫傷、右足関節捻挫で全治2~3週間”と診断を受けた羽生結弦選手。

 その症状が気になるところだが、東京警察病院形成外科の澤田彰史医師は強行出場について「危険な賭けだった」として、こう解説する。

「頭部と下顎、腹部、左大腿については、骨に異常が見られなかったことが不幸中の幸いです。ただ、最も影響が大きいのが、右足関節の捻挫。フィギュアスケート選手にとって大切な足関節に負荷がかかって、関節を囲む靭帯が損傷している状態です。重篤なものであれば、靭帯断裂や剥離骨折になることもあります」

 さらに、日本赤十字社医療センターの脳神経外科・鈴木一郎医師は、脳しんとうが起きていた可能性に言及。

「脳しんとうは本人に症状を聞いたり、意識がまともかを判断しますが、今回はアメリカのドクターが診たということで、微妙な言葉の違いもあり、完璧な判断は少し難しい状況だったと思います。軽い脳しんとうの場合でも現場のドクターがそうでないと判断すれば、出場可能になったりしますから。仮に2回立て続けに脳しんとうが起こったら、かなり深刻な脳挫傷などが起き、最悪は命を落とすケースも。なので、脳しんとうのあとしばらくはスポーツなどの激しい運動はしてはいけないのが鉄則です」

 現役時代に世界選手権3位の実績を持つ佐野稔氏は、

「コーチは休ませたかったでしょうが、どうしても本人がやりたいと。そして、目を見て脳しんとうはないなと判断して、そんなに行きたいんだったら行きなよ、ということになったと聞いております」