このドラマの舞台は、犯罪被害者や遺族のサポートやケアをするのが仕事である犯罪被害者支援室。
「警察ドラマのうえに人情という設定がさらに乗っているので、当初は手探りの部分が多かったですね。ですが中盤以降は現場の意識がひとつになり、士気も高まっています」(池田邦晃プロデューサー)
難しかったのは被害者の心に寄り添う人情の部分と戸隠班ならではの捜査の動きとのバランスという。
「被害者の心を救う手段が特捜なので、現場ではよく“人情多めで”の声がかかっていました」(池田P)
毎回出てきた戸隠の決まり文句“支援させてもらいます”には、高橋は当初、テレがあったそう。
「本番ではビシッと決めてくれました。松平さん演じる岩瀬の“特捜を許可する”と、戸隠のこのセリフは、何かが起きる合図と思ってください」(池田P)
最終回で戸隠たちが支援するのは、鬼刑事といわれた元捜査一課の中山大蔵(綿引勝彦)。愛娘を殺害された中山は、犯人への復讐心をあらわにしている。
「復讐感情の強い被害者は犯罪被害者支援室としては、もっとも難しいケースです。元刑事だけに本当に犯人を殺してしまう危険性もある。そんな中山にメンバーがどう対峙するのか、似た経験を持つ戸隠がどんなアンサーを出して救うのかが、最大の見どころとなっています。戸隠ならではの被害者支援の集大成になっていますが、最終回だけでも、お楽しみいただけますよ」(池田P)
犯罪捜査支援室は、各都道府県に実在する組織。このドラマの制作にあたっては、京都府の犯罪捜査支援室が協力をしている。
「現場に室長さんがたびたび足を運んでくださり、大きな活力になりました。警察官、刑事というと強面なイメージですが、犯罪被害者支援室の方は物腰がとても柔らかく、人が心を開きやすいようなやさしい色の服を着ています」(池田P)
出演者は、そんな室長を質問攻めにしたという。
「台本にある内容だけでなく、さまざまなケースについて貪欲に聞いていました」(池田P)
特に熱心だったのは、時に感情移入しすぎる室長・吉崎仁美役の松下由樹。
「会えてよかったと、とても喜んでいましたし、その後は自信を持って演じていましたね」(池田P)
ベテラン勢が自分の役割をしっかり理解して演じているのがこの作品の特徴。
「隠し見どころとしては、捜査一課の2人(石丸謙二郎、渡辺邦斗)の掛け合いですね。松平さん演じる岩瀬に、うまく丸めこまれるというキャラの動きを、2人で細かく話し合っているんですよ」(池田P)
台本が届いてから演じるまでに、毎回約2時間のミーティングを率先して行うのは主演の高橋。
「克典さんは非常に考える人。ご自分の演技だけでなく、作品全体を見てくれているし、視聴者に愛されるにはどうしたらいいかなど、プロデューサーのようなことまで考えてくださいます」(池田P)