【Q3】女性がなりやすい依存症ってあるの?

 多様化し、細分化される依存症。その中でも、特に女性が陥りやすいものとは?

「食べ物系の依存症は女性に多いです。女性はスイーツが好きですよね。甘いものに依存する女性はいます。ダイエットや過食も、女性が依存しやすい。買い物依存症も若い女性に多いです」(榎本医師)

 買うといっても、別にその品物が必要というわけではなく、ただ「いいなあ」と思って衝動的に買ってしまう。その「買う」行為そのものが快感で、自分を抑制することができない。

 大金持ちであれば特に問題にはならないが、そうでなければ親に泣きついたり、借金を重ねて、周囲を困らせる問題を引き起こす。

「リストカットも圧倒的に女性のほうが多いです。ストーカーも女性の『性依存症』と言えます。最近は女性もお酒を飲む機会が増えましたので、女性のアルコール依存症も増えています」(榎本医師)

 男女同権や女性の社会進出も、女性特有の依存症に大きな影を落としているという。

【Q4】依存症の原因に遺伝は関係あるの?

 親が昔からお酒をよく飲んでいたから、体質を受け継いで、子どもがアルコール依存症になることはあるのか。

「親から体質を受け継ぐというと、依存症は遺伝的な要素があるのかとよく聞かれますが、アルコール依存症については、DNAの配列などの観点から研究が行われているようですが、まだ明確な結論は出ていません」(榎本医師)

【Q5】依存症の原因は実は本人ではなくて家族にあるの?

 アルコールやギャンブルで問題を起こしても、泣きながら反省すれば家族は許してしまう。ひきこもりであっても家族は家族。そっと見守ってあげるのが大事……と思っていたら大間違い。

「依存症は、実は患者の家族に大きな問題があるのではないかと気づきました。重要なのは、目の前の症状ではなく、背後にある家族病理に目を向けること。依存症患者自身が自分の病気を認識するのはもちろん、その家族も患者を生み出した自分たち家族全体の病理に気づかないといけません」(榎本医師)

 家族はどうしてもかばってしまう。苦しむ子どもを目の前にした母親なら、それはなおさら。

「家族も病気なのです。治療をする立場からすると、本人をかばう家族はいないほうがいい。家族は面倒をみようとしますが、それをすると依存症の治療は挫折します」(榎本医師)