寅さんファミリーでタヒチ旅行へ

 エピソードはこんなところでも。あの柴又で、寅さんと意外な場所に行っていた。

「昔、柴又の参道にソープランドがあったんですよ。“行きてぇなあ~”なんて思って見てたら、渥美さんが“蛾次郎行くか?”って。さすがにオレも“今は……”って言ったら、“いいんだよ”って、渥美さんが金払ってくれて一発やってきたんだよ(笑)。

 渥美さんは待合室で女の子たちとだべってるだけなんだよ。女の子はスターが来たから喜ぶじゃない。その間にオレはすっきりしてきてね(笑)。渥美さんには食事もごちそうになったし、16歳下のオレを弟みたいに可愛がってくれました」

 また寅さんファミリーとは、こんな付き合いもしていた。

「20話くらいのとき、寅さんから“蛾次郎、タヒチ行こうか?”って言われて、オレと渥美さんと倍賞さんと監督と何人かで行ったんですよ。完璧にプライベート。もちろん、全部、渥美さんが費用を出してくれて。

 で、倍賞さんがプールに来たときに、ワンピースで来たの。“倍賞さん、タヒチだよ。これじゃ恥ずかしいよ”って言ったの。そうしたら、次はセパレートで来たの。でも、オレは“ダメダメ。買ってあげるからビキニじゃないと”って言ったら、自分でビキニを買ってきましたよ(笑)。監督だってパレオかなんか巻いて、ビーチでえらくはしゃいでいましたよ」

 さまざまな人から愛された蛾次郎。これからは和子夫人が愛したお店を息子と一緒に続けていくという。そんな夫の姿を妻は天国からそっと見つめていることだろう。

佐藤蛾次郎のコンサートで挨拶をする渥美清さん('75年)
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