「いまさら取材かよ。昔から“豊洲はダメ”って騒いでいるのに」

「早く言っちゃえばいいんだよ。移転は中止するって」

 苛立ちを交えて話すのは、築地市場で水産仲卸業をする男性(66)だ。なにより、移転先の店舗面積が狭いのが気に入らないという。

「オレたちの仕事は、店先に鮮魚を詰めた発泡スチロールの箱をいくつも並べて、“いらっしゃい、いらっしゃい!”と手を叩いてお客さんを呼び込むんだ。豊洲の店舗は細長くて店先が狭いから、発泡スチロールの箱を1つしか置けない。“呼び込んどいて、これしかないの?”って怒られちゃうよ」と同男性。

 豊洲は手狭なため、大型冷蔵庫など複数の商売道具を処分するつもりでいた。移転の白紙撤回もありうると考えて処分を保留している。

 ほかにも、気に入らない点がある。

「仕事が終わる昼ごろには、同業者で酒とつまみを持ち寄って飲み始めるんだ。足が早い残りもののサンマの刺身とか、つまみにはサイコーだよ。でも、豊洲では仕事が終わったらすぐ帰らなくちゃいけない。門が閉まっちゃうんだって。ささやかな楽しみも奪われちゃう」(66歳男性)

 水産加工会社で働く男性(26)は「できれば移転したくないですね」と話す。

「川崎方面に住む同僚は、新橋発午前6時のゆりかもめ始発でレインボーブリッジをぐるーっと遠回りして新市場に通勤することになる。5時半過ぎには仕事を始めるので早く出勤できる人でやるしかなくなります」(26歳男性)

 別の水産仲卸を営む男性(65)は「いまさら取材かよ。昔から“豊洲はダメ”って騒いでいるのにマスコミが取り上げてくれなかったんじゃないか」と恨み節をチクリ。

「理念のない市場をつくったのは東京都。都の職員を仲卸や荷受け、小揚げ会社などに2〜3年出向させれば、どんな仕事をしているかわかったはず。やるべきことをやらなかったから、マグロも捌けないような間口で店舗をつくっちゃうんだよ」(65歳男性)

豊洲新市場は隠された事実が続々と明るみに
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