巧丞くん自ら児相を訪れたり電話したことも

 児相の担当者が振り返る。

そのときから昨年の9月まで計8回、巧丞くんを保護しています。8回も保護するというのは、ほとんどないんですよ。施設へ預けることを考えては、という話もしましたが、お父さんが拒絶したんです

 保護した回数だけを見ると、親子関係が悪いと思いがちだが、実はそうでもないことが取材から浮かび上がった。前出・児相担当者が続ける。

8回のうち7回は、単純に親子ゲンカが原因です。嘘をつく、勉強をしないことをお父さんが厳しく叱る。巧丞くんも“働けないくせに”と言い返す。そこで今度はお父さんが、“出ていけ!”と怒鳴り、巧丞くんが飛び出すんです。

 最初の依頼も、精神的な負担から、イライラして接してしまうからということで相談があったためです」

 と状況を説明する。しかしながら「身体的、精神的な虐待、ネグレクトのような育児放棄もありませんでした。家から追い出すのはどこの家にでもあることで、あくまで親子ゲンカの仲裁に入り、親子関係の手助けをしていた」と、児相が強制保護しなければならない多くの子どもらが置かれているような逆境に、巧丞くんがいたわけではないという。児相関係者は、こんな巧丞くんの言葉を明かす。

「勉強が好きな子で、“勉強を教えてくれる父ちゃんが好き”だと話していました」

 ところが、である。

 昨年夏あたりから、巧丞くんの親権争いが起こった。巧次さんが巧丞くんを最後に児相に預けたのは、昨年9月6日のこと。

親権問題でもめているという相談を受けました。ゴタゴタしているし、気持ち的にも余裕がないので落ち着くまで預かってほしいと。そのとき話を聞いていた巧丞くんが“家裁の決定に従います”と言ったのが印象に残っていますね」(前出・児相担当者)

 9月末には巧丞くんは父親のもとへ帰ることになる。この日が2人を見た最後だと児相担当者は言う。

「巧丞くんが父親のところに帰る意思を示したんです。お父さんが迎えに来て“ちゃんと学校行こうな”って話していました。2人ともなんだかうれしそうでしたけど、こんなことになるとは……」

 2人が遺体で発見される5日前、巧丞くんが通う小学校では、校長面談が行われた。