'13年2月に発売された長友氏、りえ&娘、日暮氏の4人の共同制作による絵本
'13年2月に発売された長友氏、りえ&娘、日暮氏の4人の共同制作による絵本
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 りえは、この年に『ふたりの12のものがたり』という絵本を出版している。りえの娘が描いた絵を使って長友さんが絵本に仕立てたのだ。彼女は長友さんの目の前で、できあがったばかりの本を娘に読み聞かせ、娘はじーっと耳をそばだてていたという。文章を担当したコピーライターの日暮真三さんが、彼女との思い出を語ってくれた。

「'95年に黒田征太郎と『拝啓 サクラさく』という本を作ったんです。本の中に“散ることを知りながら、咲くことを恐れない”という一節があって、りえちゃんには心にしみたようです。長友さんを介して電話をしてきてくれて、そこから仲よくなりました」

 日暮さんは何度も病床の長友さんを見舞っている。病室には、りえからの手紙が飾られていたという。

「彼女はエネルギッシュでタフだよね。お酒も飲むし、よく食べるしね。長友さんもグルメだったから気が合ったんでしょう。りえちゃんはお父さんを亡くした気分でしょうねそう思わせるだけの包容力のある人でしたよ。

 病室には、彼女の描いた1枚の絵も飾ってありました。色鉛筆を使った抽象的な絵で、回復を願う気持ちを表していたのでしょう」(前出・日暮さん)

 このたび、りえが3度目の最優秀主演女優賞を獲得できたのは、『湯を沸かすほどの熱い愛』の演技が高く評価されたからだ。

「彼女はひとり娘を持つ母親を演じています。夫が失踪して銭湯を閉めなければならなくなり、末期がんで余命2か月というダブルパンチ。

 それでも明るさを失わずに力強く生きるんですね。シングルマザーになった自分と重ね合わせる部分もあったのではないでしょうか。長友さんに受賞を報告することはかないませんでしたが、生涯をかけて女優として生きていく報告をしたのではないでしょうか」(前出・テレビ局関係者)

 長友さんは、これからも天国から“娘”の活躍を見守り続ける。