入試のみで合否が決まるため、一発逆転で難関校に合格することが可能なのが中学受験。それに比べて、高校・大学入試での「下剋上」の可能性は? 受験指導の専門家として数多くの生徒を名門校へ送り出してきた学習アドバイザーの西村創さんに話を聞いた。

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本当の「下剋上」は偏差値20以上のUP

公立高校の入試は、中学校の内申点が合否に影響するため、中1~3までの地道な努力が必要。大学の一般入試は、中学~高校まで6年間の学習内容をきちんと積み上げなければ、太刀打ちできない試験内容になっています。つまり、高校も大学も短期間ではなかなかその差を埋められません」(以下、西村さん)

 要するに、中学受験より高校・大学受験のほうが下剋上しづらいのが現実なのだ。

「きちんと受験勉強に取り組めば、偏差値10程度のアップはザラにいます。ただし、受験業界で“下剋上”的といえるのは、20以上のアップ。そんな劇的な伸びを見せられるのは、30~40人に1人、いるかいないかですね」

 では、どんな子が“下剋上”を果たせるのか。

志望校へ入りたい気持ちがしっかりとある子は強い。志望理由もハッキリとしていることが多いので、推薦やAO入試(書類審査、面接、小論文などで受験生の能力や適性、目的意識などを判定し合否を決める試験)も挑戦しやすく、可能性が広がります」

 また、ハードな部活に入り、体力&精神力を鍛えた子は、引退後、受験勉強に専念し始めると、すさまじい成績の伸びを見せる場合も。

「でもやはり、一般的には、コツコツと中1、高1から基礎学力をつけてきた子が受験モードになって一気に花開くというのが王道ですね」

 高校の推薦入試や大学のAO入試、1科目入試などを活用するという抜け道もあるが、特に高校・大学入試では、地道に勝つ策はなし!

 一方、親の役割は“つかず、離れず”。中学入試のように、親がガッチリとサポートするとうまくいかない場合もあるのだとか。

思春期の中学生、高校生にとって、親の過干渉はマイナス要因です。勉強している隣に立って、数学の解き方を教えるお父さん、模擬試験で間違えたところを細かく指摘するお母さん……。心当たりはありませんか? 中・高校生は大人として認められたい年ごろ。心配でも、わが子を信じて見守るのがベストです」