会社やPTAも組織犯罪集団に

イラスト/イケウチリリー

 共謀罪の対象は一般の団体ではなく、「組織的犯罪集団」の構成員だ。名前からすると、政治的意図を持ったテロ集団や暴力団と想像するだろう。法務省もホームページで一般市民へ拡大はしないと説明する。

 しかし、途中で団体の共同目的が変わったとして、実際にはどんな団体でも、「組織的犯罪集団」とされてしまう可能性が。具体的な法運用をし、逮捕するのは法務省ではなく警察だ。

 すでに一般市民へ適用される具体的なケースが考えられる、と林さんは指摘。

「自動車を輸出する会社が、輸出先でダンピングをしようとした場合、適用されるかもしれません」

 会社が違法性のあることをしようとしたときも対象になるということはサラリーマンも他人事ではない。

 ’15年9月、最高裁は、会社組織が実質的に破綻したあとに、リゾート会員権を販売した行為について、一部にその認識がない営業員がいたとしても、組織的に詐欺罪にあたる行為をした、と判断している。

 山下弁護士は言う。

「普通の会社や団体でも、活動内容が一変し、団体の共同目的も変わったと判断されれば、該当する可能性もあります」

 企業に勤めていない場合も対象になりうる。

「例えば、マンションの管理組合。隣に新たなマンションが建つとします。日照権を侵害するから建設反対のために資材搬入を阻止する座り込みをしようと話し合う。それが組織的威力妨害罪の共謀になる可能性があります。普通の団体でも活動内容も目的も変わったと警察に判断されれば、該当するおそれがある」

 これと同じことが生徒会やPTAでも起こりうる。「学校で何らかの問題が起きたとします。生徒会で先生に対し“抗議して謝罪させよう”となった場合、組織的強要罪の共謀になるかもしれません。

 また、PTAも“話し合いがまとまるまで先生を帰さない”と決めると、逮捕監禁罪の共謀になりえる。警察が摘発したいと思えば、なんでもできます」(山下弁護士)

 林さんも警告する。

現状に反対したり道徳的違反行為をしていれば可能性はゼロじゃない。“飲み屋談議は対象ではない”と法務省は言いますが、法律にはそう書いていません」

 家族観をコントロールしようとする『家庭教育支援法案』や道徳教育の教科化などとあわせ、共謀罪は、政権にとって都合のよい規範(道徳観)を強める手段といっても過言ではない。