〇〇家の墓? 自分の終の棲家? 残された人のため?

「実は、〇〇家の墓と書かれた大きな石塔を建てて、そこに家族の遺骨を納める形のお墓が定着したのは、明治以降。それまでは、地域によって、埋葬・納骨方法も全然違っていたんです」(吉川さん)

 だから、今の形に必要以上にとらわれることはない。

「ただ、例えば、散骨が自然に還るイメージがあって今は人気ですが、遺骨をまいてしまって少ししか手元に残らないことで遺族が寂しく思う場合もあります。お墓参りができないから、本当にこれでよかったのかなと後悔したり。海に散骨したけど、よく考えたら泳ぎが苦手だったのにと遺族が思ったりということも」(吉川さん)

 今はひとり用のお墓があり、夫も自分も同じ区画の別の場所に入ることで、残された家族が参りやすくて、なおかつ死後別居がかなう形もある。ずっと管理を任せられる、永代供養も人気だ。

お墓を自分の終(つい)の棲家(すみか)として考えると答えが出ないことがあります。それよりも、残された人に、人の生死というものをお墓を通じて考えてもらうとか、人の縁をどうつなぐのかを考えるといいと思います。先祖からのご縁があって自分たちがいるのだと、残された人が心強く思えるような形がとれると、いちばんいいのではないでしょうか? 実際に、人生の壁にぶつかったときに、お墓参りに来て勇気づけられる方も多いですから」(吉川さん)

<プロフィール>
吉川美津子さん◎終活コンサルタント。葬儀やお墓、終活の専門家として、コンサルティングや講演などを行う。『死後離婚』『お墓の大問題』ほか、著書多数。

岡野あつこさん◎夫婦問題研究家。NPO日本家族問題相談連盟理事長。自身の離婚後に、夫婦問題のカウンセラーとして、3万件以上の夫婦問題の相談に携わってきた。