目次
Page 1
ー バンド活動の過去も
Page 2
ー 「ぎょうざくんは3県のハイブリッド」
Page 3
ー ぎょうざくんのシリーズ化は?

 物語は、「餃子がいなくなったので捜しています」という町内放送から始まる。放送を聞いたとしおくんはビックリして、なぜいなくなったのか、「水餃子とケンカしたのか」「餃子の故郷に行ったのか」などさまざまに妄想をふくらませていく……というユニークな設定のお話。この斬新な発想は、日常のシーンから生まれたという。

「私の住んでいる地域では日々、防災無線から詐欺の注意喚起や“猿が出没しました”などのお知らせが流れてくるんですね。その中で、“小さい子が迷子になりました”とか“お年寄りがいなくなりました”といった行方不明者の放送を聞くと、心配になると同時に、どんな人かな、何があったのかなと想像をしてしまうんです。そして“無事に見つかりました”という案内を聞いてホッとするんですが、そんなことをきっかけにして、何が逃げ出したら面白いかな、と家族で話している中で生まれたアイデアです

バンド活動の過去も

 普段から、絵本のアイデアは家族との雑談の中から生まれることが多いそう。

「5年ほど前に絵本教室に通い始めてから、家族みんなで絵本のアイデアを出し合うのがコミュニケーションになっていて。その中から面白いと思ったものを採用して作ったりしています」

 そもそも玉田さんが絵本作家になりたいと思ったのは中学2年生のころ。

「もともと絵を描くことが好きで、小さいころから絵本も好きだったので漠然と夢見るようになって。それで美術系の大学に進んだんですけれど、一時は夢がそれて音楽に夢中になり、バンド活動をやっていたこともあります

 その後、結婚して子どもが生まれ、子育てが落ち着いたところで、“やりたかったことにもう一度挑戦しよう! ”と一念発起。主婦業の傍ら、創作活動を始める。絵本教室時代には卒業作品がコンペで入選、初応募となった第42回「講談社絵本新人賞」では佳作に入賞と、あっという間に頭角を現し、翌年には本作で新人賞の栄冠を手に入れた。

新人賞を取らないと本が出版できないので、新人賞を目指して頑張ってきたんですが、描いているうちに面白いのかわからなくなってきて……。本当に新人賞なんて取れるの? って思っていたら賞をいただけたので、ちょっと信じられない。いまの状況にもまだ理解が追いつかない感じで自分がいちばんビックリしています(笑)」