「健康にいいと聞けば、なんでも試してみます」

 ここに居続ける“ボク”は自分自身でもあるという。

「デビュー32年目に突入して、いまちょうど50歳。音楽を中心に自分自身の思いを形にしてきた自分(僕)は、ずっとここにいるという気持ちがあります」

 毎年、数多くのアーティストが誕生していく中で、30年以上にわたり第一線を走り続けられるアーティストは数少ない。

昨年、丙午(ひのえうま)生まれの50歳のアーティストばかりが集まったライブをやったんですね。怒髪天の増子直純さんとか、スガシカオさん、ウルフルズのトータス松本さん、オリジナル・ラブの田島貴男さん、ザ・イエロー・モンキーの吉井和哉さん、斉藤和義さん。みんな同級生なんですよ!

 これだけ個性強くやっている人たちが集結すると、刺激を受けましたね。みんないい年の重ね方をしていてカッコいい。いつ彼らと同じステージに立っても、恥ずかしくない自分でいたいなと思いました」

 10年後のライブも、絶対に見たいと思っているファンが多くいるはずと伝えると、

「10年後って、みんな還暦なんです! ビックリしちゃうけど、楽しみですね。昨日、たまたま大友康平さんとご一緒したんですけど、ちょうど私たちの10歳上になる大友さんの世代で去年、還暦を迎えられた方々も、桑田佳祐さんに、鈴木雅之さんとすごい! 丙午生まれのみんなで“すごい先輩たちに比べたら、俺たち、まだまだ青いね”って話したこともあって(笑)」

 “自分で年齢について考えることはあまりないけれど、仕事柄、周囲から認識させられることが多いんです(笑)”と語る渡辺に、音楽以外でいまハマっていることを聞くと、

「う~ん……。心健やかに、健康でいることですかね。健康にいいと聞けば、なんでも試してみますよ。ただ、お米からできている発酵したものが、私には合っているのかも。飲むのもいいし、日本酒はお風呂に入れると代謝がよくなるし。

 ただ、カッコよく聞こえるかもしれませんが、ぜんぶ音楽につながっていきますね。これまで、一瞬でも歌から離れたいと思ったことがないんです。ワーカホリックなのか、すぐに歌いたくなっちゃう(笑)。歌っているとどんどん元気になるんです。気が巡りだして。心も身体も新陳代謝をよくするのに音楽って大事だと思うんです。歌うのでも、聴くのでも」

 歌うことで生まれてくる渡辺のエネルギーに勇気づけられている人は多い。

「ときどき、悲しい曲なのに聴いていると、元気が出てくるって言われるんです。それが“美里マジック”(笑)。私の声にそういうエネルギーが多少なりともあったらうれしいですね」

 渡辺美里の歌声は、またひとり、誰かの前に進む一歩につながっているはずだ──。

<リリース・ライブ情報>
★『ボクはここに』通常盤 1111円+税

★7月8日の石川県・金沢市文化ホールを皮切りに『渡辺美里 M・Generation Tour 2017』スタート! 
詳細は、公式サイト
http://www.misatowatanabe.com/