思わず読みたくなる!POPも話題の本屋さん

話題作から定番まで常にアンテナを「ヴィレッジヴァンガード下北沢店」

『ヴィレッジヴァンガード』下北沢店の様子
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 ライブハウスや劇場などが点在するサブカルの街に1998年オープンし、若者を中心に根強い支持を得ている下北沢店。いまや全国展開する『ヴィレッジヴァンガード』だが、その軸にあるものは変わらないと店員の長谷川朗さんは話す。

「新刊も重要ですが、いい作品を大事にしていくというのも軸にあるんです。例えば、大友克洋さんの『AKIRA』、小説では寺山修司さんや澁澤龍彦さんの作品なども長年売れ続けている。これって、ほかの書店さんにはあまりないうちの特徴だと思います」

 それを可能にしているのは、思わず手に取りたくなるPOPなどの販売方法だ。

売り続けたい人気の定番や、いま推したい作品などに目が向くようにPOPをつけています。書き方は担当によって違い、僕は心にパッと思い浮かんだことを書くほうが、おもしろいものができることが多い。陳列も例えば人気の作家さんがいたらその人が好きな作品とか、関連する雑貨を近くに置いたりと、ある程度ジャンルを固めて手に取りやすいよう工夫しています」

 店内に入ると、10~20代の若者が多く、カップルや友達同士で楽しそうに会話を交わしながら、商品を手に取り思わずニヤニヤ。海外の観光客も増えている。

「最近は、コミックやアイドル、ユーチューバー関連の本や商品が人気です。SNSの普及で話題が広まるスピードが昔と格段に違ってきた。だから、次に来るコンテンツは何かというアンテナは常に張っておかなければいけないと思います。一方、書籍に関しては新しいものだけでなく、定番など良作を紹介し続ける知識も必要。そのバランスがこの先、大事だと思いますね」

◎東京都世田谷区北沢2-10-15マルシェ下北沢1F 営業時間/10:00~24:00 定休日/無休

「地元の本屋」であり続けるために「さわや書店 フェザン店」

『さわや書店』フェザン店

「“私は私の住む街を愛したい”というのがさわや書店のモットーなんです」

 と田口幹人店長が言うとおり、フェザン店の入り口に立つと岩手県に関する本のコーナーが目に飛び込んでくる。ほかのチェーン店なら申し訳程度に置かれる郷土本がここでは主役なのだ。

「新刊はもちろんですが、以前出た本でも、旬な要素があれば大きく扱います」

 駅ビルにはさまざまな人がやって来る。地元の人には自分の住む街で何が起こっているかを知ってもらい、外から来る人には、この街のよさを知ってもらう役割を果たしている。

「いま盛岡には大規模な書店が数店あるので、うちは“読みたい本を見つけたいときに来る本屋”であろうとしています

 新刊・既刊に限らず、その本のよさに目を向けてもらうために重要なのが、店内のあちこちに立つPOPだ。出版社から送られるものは使わず各スタッフの“これを売りたい!”という本に熱い文章を添える。『ある奴隷少女に起こった出来事』(新潮文庫)は、POPから何百冊も売れた本のひとつ。やみくもに立てるのではなくPOPを置かない整然としたエリアも確保している。

 年に1度は、さわやの全店員の投票による「さわべス」を決める。これも手書きで掲示している。

 '17年5月には同じビルに専門書中心の『ORIORI』をオープン。両店をつなぐ通路には郷土の商品や歴史を伝えるコーナーがあるが、これもさわやスタッフが担当する。

イベントも含め、いかに地元におとしこめるかが第一。それが地元の本屋の役割であり、生き残っていく道でもあると思うんです」と田口さんは語った。

◎岩手県盛岡市盛岡駅前通1-44盛岡駅ビル・フェザンおでんせ館1F 営業時間/9:00~22:00 定休日/無休

※店舗の情報は2017年10月10日時点のものです。