女性と心中を“約束”した

 執着している浩二は掲示板で別の呼びかけをした。知美から連絡があった。こうしたやりとりをする過程で、私の取材を受けた。

 中国地方の農村で生まれた浩二。夜寝るとき、「翌朝になっても目が覚めなければいいな」と思うようになったのは小学校高学年のころ。近所に遊ぶ友達はいなかった。テレビゲームは暴力的として親から禁止された。

 中学1年生のころから学校でいじめをうけた。クラス内の人間関係もうまくいかない。

 両親は、

「いじめがあれば逃げればいい」

 としか言わず、問題解決に積極的ではなかった。そんな心情を引きずったまま高校に入学することになる。

「他人と約束していれば、『死ななければならない』でしょ。女性と(心中をしようと)約束した」

 取材後、浩二は実家に帰った。「(知美が)断ってきたら、もう少し生きてみようと思う」とも言っていた。数日後、行方不明となった。父親の車に乗り、いなくなった。知美と一緒に亡くなっているのが発見された。浩二は、知美の強い自殺願望を振りほどけなかった。

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 自殺サイトに集まる人たちは必ずしも「死にたい」人ばかりではない。性暴力を目的とした鬼畜な男たちもいる。