「ストーカーにならない、させない」予防策とは

 交際を始めるときには、

(1)お互いは相手にとってどういう存在なのか(恋人、セックスフレンド、ファン、師匠、ビジネスパートナーなど)

(2)それぞれが大事にしていることは何か(仕事、家庭、音楽、一人だけでいる時間など)

(3)これをされたら終わりだという嫌なことは何か(暴力、携帯の盗み見、親の悪口など)

 を確認してください。

 とくに重要なのは(1)です。医者と患者、ジムのインストラクターと利用者、ホストと客などは、「個人的にも親密な関係だ」「相手は私に好意を持っている」と一方が勝手に思い込むことも多く、ストーカー行為につながりやすいからです。

小早川明子=著『ストーカー 「普通の人」がなぜ豹変するのか』(中公新書ラクレ) ※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします
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 交際中に気をつけてほしいのは、「金品の貸し借りをしない」「過去の異性関係は言わない、聞かない」「リベンジポルノを防ぐため、そういう写真や動画を撮らせない」などです。

 相手と別れようと思ったときには、

(1)会う回数を減らしていく

(2)電話は避けて連絡はメールかLINEにし、第三者に読まれても大丈夫なことだけを書く

(3)ニックネームではなく名字で呼ぶ

(4)別れを告げたあとは決して会わない

(5)相手の所有物はどんなものでも捨てない

 を守るようにしてください。

 あるクラブのナンバーワン・ホステスは私にこう言いました。「お客様には、普段は恋人であるかのように接するけれど、ときどき“これは恋愛じゃないけど大丈夫?”と釘を刺すようにしています」。こうした一言が大事なのです。ストーカー被害を受けないためにも、自分を守れるのは最終的には自分だけだ、ということを肝に銘じていただければと思います。

(文/小早川明子)

<筆者プロフィール>

小早川明子◎1959年愛知県生まれ。NPO法人「ヒューマニティ」理事長。ストーカー問題、DVなど、あらゆるハラスメント相談に対処している。1999年に活動を始めて以来、500人以上のストーキング加害者と向き合い、カウンセリングを行う。