セックスに嫌悪感をもつ若い男性もいる

 また、男性側に見えてきた課題のひとつに、セックスへの向き合い方があると中島さんは言う。

「女性をレイプするAVを見て、嫌がっていても本当は女の人は喜んでいるんだって、本気で思っている人もいますが、逆にセックスに嫌悪感をもって、自分はしたくないって言っている若い男性もいます。それはきっと性に対する経験とか学びが、あまりいいものではないんじゃないかと思うんですよね。AVを見て傷ついている男の子もいるのではないでしょうか。“あんなことできない”って」

 一方で、日本の学校では、セックスは生殖のためのものであるというアプローチの性教育が主流である。

「セックスは妊娠出産につながるものであると同時に、コミュニケーションの手段のひとつであること、そして妊娠を望まないのであれば避妊が必要なんだよとか、感染症になる恐れがあるからコンドームが必要だと教えないといけないと思います。男の子には、相手が妊娠をしたら困ると思っている場合は、コンドームをしないでセックスするのは『暴力』だよってところまでを伝える必要があります。そこを、大人がふたをしちゃっていいのかなって思うんですよね」

妊娠・出産も「多様性」があるという認識が広がってほしい

 若い世代のセックスへの正しい知識を伝えていく必要に加え、社会が妊娠出産の多様性を理解することが大切だと、中島さんは強調する。

女の人の生き方ってすごく多様性がありますよね。子どもが欲しい、欲しくないという意思もあるし、産みたくないと思っていた気持ちが何かのきっかけで変わることもある。もちろん、どんなに産みたいと思っても産めないこともありますし、そもそもパートナーに巡り会えるかという問題もある。とても個人的で、それぞれの考えがあり、計画通りにしたくても、相手があることなので思い通りにいかない場合のほうが多いくらいですよね

 女性の社会進出に伴い、日本の初産の平均年齢は、1975年の25.7歳から2015年の30.7歳と、40年で5歳も上昇している。産み始める年齢が5歳遅れている中で、不妊治療のデータによれば、39歳くらいから流産率が妊娠率と逆転していくことから、このあたりが自然妊娠できる限界の目安という事実は変わらない。