「子どもがいてこそ人生という気持ちだった」と話す古泉さん
「子どもがいてこそ人生という気持ちだった」と話す古泉さん
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子どもがいないと結婚する意味がない

 漫画家の古泉智浩さん(49)には、『うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門』(イーストプレス)の著書がある。タイトルどおり、里子を預かってからのエピソードを満載した作品は評判を呼び、続編『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました』(同)も昨年に出版している。

 古泉さんが妻(41)と結婚したのは'09年。子どもをつくるのが前提だった。

「子どもがいないと結婚する意味がない」(古泉さん、以下同)

 そう思うのには理由があった。妻と結婚する以前、婚約者がいたが、事情があり結婚できなかった。その女性との間に娘がいる。

「娘が2歳のときに初めて会って、それで子どもが欲しいと思ったんです。もし自分が2歳の女の子だったら、大人を頼って生きなければならない。娘と会ったことで、人を守らないといけないと初めて思いました。ずっと“愛とは何か?”と考えていましたが、これが答えでした」

 妻は初め、子どもを欲しいとは思っていなかったようだが、古泉さんと話をするなかで変化していった。

 しかし、なかなか2人の子どもができない。検査をしてもどちらも機能的には問題がない。不妊治療をするが、それでもできない。

「あるとき、妻から不妊治療で600万円使ったことを聞かされて。高い治療をすれば成功すると思っていましたし、妻も妊娠できるつもりでいた。それでもできない。深みにはまりました。運なのか、神様の差配なのか」

 それでもあきらめず、古泉さんは養子縁組を考えた。子どもがいないことが耐えられなかったのだ。

 里親の希望者は、夫婦の同意の上で相談し、児童相談所の担当職員がその家庭を訪問し、調査する。同時に研修を行う。児童福祉審議会の審議で認定されると、里親名簿に登録される。