今や中学生の大半がスマホを持つ時代。しかし、脳科学者の川島隆太教授は「スマホこそが子どもの学力低下を招いている」と警鐘を鳴らしています。

スマホを使うと成績が上がらない!

 川島教授が所属する東北大学加齢医学研究所では、仙台市教育委員会と連携して児童・生徒の学習意欲を向上させる共同プロジェクトを行っています。

 その取り組みの中で、さまざまなアンケートを実施。急激な普及にともないスマホの項目も追加したところ、驚きの結果が出たのです。川島先生によると、

「当初、教育委員会も私たちも、スマホよりテレビやゲームの影響を気にしていました。しかし、集まったデータを解析したところ、まったく予期しない結果となり、私は凍りつきました。

【図1】のグラフは『平日の携帯・スマホ使用時間と学力(数学)(平成25年度)』を表しています。1日の使用時間が長くなるほど成績が低くなっています。勉強時間が短くなるからではありません。それは“使用時間が1時間未満・家庭学習時間が30分未満”と“使用時間4時間以上・家庭学習2時間以上”を比べれば一目瞭然です。

 スマホを4時間以上使う子は2時間以上、家庭学習をしてもスマホを1時間未満しか使わないけれども家庭学習は30分未満しかしない子よりも成績が低いのです。学校での勉強だけでなく家庭でも学習しているというのに、スマホによって相殺されている可能性にガク然としたのです。

 ほかにもスマホが子どもの学習に与える影響は甚大です。まずはスマホの影響力を知り、それでも持つのか、どう使うのかを親子でぜひ話し合ってください」

【図1】家庭学習時間に関係なく、携帯・スマホの使用時間が長くなるほど平均点が低くなる傾向に
【図1】家庭学習時間に関係なく、携帯・スマホの使用時間が長くなるほど平均点が低くなる傾向に