適用には本人の同意を必要としているが、

「企業の力が強い日本の労使関係では、労働者はNOと言えない。ほとんど意味をなさないと思います」(森岡さん)

高プロの強行採決に対する抗議集会の様子

 高プロへの道は今に始まったことではない。’05年にはその前進とされる『ホワイトカラーエグゼンプション』(以下、WE)に関する提言を経団連が発表している。そこでは、年収400万円以上の労働者が対象だった。

 WEは’07年、第一次安倍政権で国会へ提出されかけたが、反発が強く見送られた。’13年、第二次安倍政権が発足すると、首相は国会の所信表明演説で「世界でいちばん企業が活躍しやすい国を目指す」とのスローガンをぶち上げた。

「企業が活躍しやすい国にすることと労働時間制度は一体です。その中で登場したのが高プロ。WEを焼き直しして、働き方改革を看板にすげ替えたのです」(森岡さん、以下同)

危険なのは高プロだけではない

 働き方法案には、高プロのほかにも、過労死のリスクをはらむ内容が含まれている。

「月45時間までを残業の上限としながらも、納期がひっ迫しているときなどを特例に、月100時間、2~6か月で80時間まで認めています。これらは過労死ラインと呼ばれる時間帯。規制すると言いながら抜け穴を作っています」

 働き方改革を「壮大なトリック」と呼ぶ竹信さんは、次のような懸念を隠さない。

「今まで一律だった労働基準法に適用しなくてもいい人を作り出すわけですから、高プロのもと、働く人は天国と地獄に二極化していくおそれがあります。政府がいう柔軟な働き方とは、必要なだけ柔軟に働かされて、帰れないということ。

 高プロが女性に適用されたら、保育園のお迎えに間に合わなくなる事態も出てきます。長時間労働できない女性はますます非正規に流れていき、短時間のパートをかけもちせざるをえない。

 夫も帰って来られないのでワンオペ介護や育児に拍車がかかりますし、女性の貧困も進むのでは?残業代がないので会社は労働時間に無頓着になります。これからは手帳に労働時間を記録して、過労死に備えることは必須です」

 食い止めるなら今しかない。