価格は下落した。だが、その分をカバーしても余りあるほど『オプジーボ』の出荷量は4割ほど増えている。そのワケは適用できるがんの種類が増えたから。当初の悪性黒色腫から、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、根治切除不能または転移性の腎細胞がんなど全部で7つのがんに効果・効能が広がった。

 前出・室井さんが解説する。

「新たにがんと診断される人は2014年で約87万人いましたが、悪性黒色腫の患者数はそのうちの1%にも満たない。一方で肺がんと診断される人は年間で約11万人。使われる薬の量も一気に増えたというわけです」

 さらに、「とてもいい薬ですが、1~2割しか効かないことを知っておくといいですね」と前置きし、こう続ける。

「『オプジーボ』は肺がんや胃がん、腎細胞がんについては、現在は、手術ができない、再発した、病状が進行している─場合などに使う薬になっています。

 また『オプジーボ』は、免疫力を高めてがんを攻撃するのですが、逆にその免疫力で自分自身を攻撃してしまうこともあるんです。その点は留意しておくことが必要です」

 『オプジーボ』に続く薬だけでなく、新たな免疫療法も登場しているという。

 第2、第3の『オプジーボ』の登場で、がんが治る時代の到来もそう遠くなさそう。