芸能人としてのケイ嬢のワキの甘さ

 ケイ嬢はお母さんに「見えないところでちゃんとできないと、女として終わっている」と言われて育ったため、「公共のトイレでトイレットペーパーを補充しない女」に怒りを感じるそうですが、これも「オンナに勝ちたい」気質をよく表していると思います。女性しかいない場所でも、次の人のために気配りを忘れない自分は正しい、私はエラいという気持ちを持っているのではないでしょうか。

 ケイ嬢がどんな信条を持っていようと他人にヤバい呼ばわりされる筋合いはないのですが、芸能人として考えた場合、ワキが甘い

 ケイ嬢はWeb版『Ray』で「ちょうどいいブスのススメ」を連載中ですが、番外編としてジャングルポケット・太田博久の妻で、モデルの近藤千尋をゲストに迎え、対談をします。

 プライベートでも親交がある二人ですが、ここで近藤が、呼び出されて深夜の飲み会にやってきた芸人の嫁(当時妊娠中)に、ケイ嬢が怒涛(どとう)のダメ出しをしたことを暴露します。先輩の呼び出しなのに来るのが遅いとか、結婚してるのにフルメイクとはどういうことだ、肩を出してモテ服を着るな、など。ケイ嬢は「お酒が入っていたから」と説明していましたが、一般人からすると、ケイ嬢の行動はパワハラ、もしくは言いがかりにしか見えず、イメージダウンは避けられないでしょう。なぜこのような行動を暴露するかというと、近藤もケイ嬢に対して何か思うところがあるのではないでしょうか。

 SNS全盛の今、ネットでの発言はあっという間に拡散されます。ですから、ケイ嬢は、顔も名前も知らないトイレットペーパーを補充しない女に怒っている場合ではないのです。本当に注意すべきは、身近にいる目下で、かつメディアで発言できる人、つまり近藤であり、先輩風を吹かせている場合ではない。自分の株を落とさないように行動するのは、人気商売の基本です。ケイ嬢がそこに気づいていないのだとしたら、そこが一番ヤバい気がします。


プロフィール
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に答えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。他に、男性向け恋愛本『確実にモテる世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」。