古舘プロジェクト所属の鮫肌文殊、山名宏和、樋口卓治という3人の現役バリバリの放送作家が、日々の仕事の中で見聞きした今旬なタレントから裏方まで、TV業界の偉人、怪人、変人の皆さんを毎回1人ピックアップ。勝手に称えまくって表彰していきます。第65回は山名宏和が担当します。

高嶋政宏様 

高嶋政宏

 今回勝手に表彰させて頂くのは、俳優の高嶋政宏さんである。

 昨年秋に高嶋さんが出した本『変態紳士』にはかなり驚かされた。まずタイトルに驚き、髭面に首輪をした高嶋さんの表紙に驚き、そしてもちろん、中身を読んで驚いた。SM好きという話は、トーク番組で聞いたことはあったが、まさかここまで開けっぴろげに書かれているとは。「心のヘアヌード」を見せられた気がした。

 この本が出た後に、高嶋さんは出演したバラエティー番組をいくつか見たが、やはり「SM」にスポットを当てたものが多かった。そこがもっとも刺激的だからだろう。だが、僕が本書に感じた一番の魅力は、そこではなかった。

 冒頭から綴られるのは「SMとの出会い」、「SM初心者のための基本講座」、あるいは「アングライベントの魅力」。『変態紳士』のタイトルにふさわしい内容だ。そう思って、読み進めていくと、いきなりこんな項目が現れる。

緑茶に救われる男

 緑茶の魅力、効能、オススメの飲み方などが紹介されている。SMから緑茶、なんだ、このギャップは!

 さらにページをめくっていくと、今度はこんな一文に出くわした。

僕は唾液フェチかもしれません

 そうそう、これこそ変態紳士、と一瞬ほっとしたものの、よくよく考えると、すごい告白である。さらに「女の子をエズかせるのがいいんですよ」「そもそも口の中を見るのが好きなんですよ」って。何を堂々と宣言しているのだ、この人は。

 だが、これで驚くのは、まだ早い。強烈なフェチ話の後に語られているのは、

お墓参りの大切さ

 確かにお墓参りは大切だ。僕も歳を重ねるごとに、そう思うようになってきた。しかし、唾液フェチであると告白した、その舌の根も乾かぬうちに、お墓参りの大切さについて説かれてもなあ。いや、ホント、いいことが書いてあるんだけど、ここまで価値観の異なる話が次々と登場すると、なかなか頭が追いついていかない。

 そうかと思ったら、今度はいきなり、

妻・シルビアを愛させていただきます

 最愛の妻への思いを切々と語り始める。

 なんだよ、この展開は!