逃げ続ける理事長

 その後、教師たちは理事長室に乗り込んで約15分間、職場改善を訴えたという。

「理事長は“挨拶は強制ではない”の一点張り。そのくせ“ただ足並みはそろえろ! そろえないと俺はダメだと思うぞ”と言い、挨拶をやめる合意書にサインしなかった」

 と同ユニオンの担当者。

 校長の見解を聞くため取材を申し入れると、「きょうは始業式のため校長は忙しいので」と校長代理が応じた。

スト当日、30分以上遅れて出勤した理事長は教師の呼びかけにそっけなく(一部加工)
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「早朝挨拶は今後、おそらく午前8時以降の挨拶というかたちになっていくのではないかと考えております。そのほかの昇給やボーナスなど教員の要求・要望については、顧問弁護士と相談・協議しているところです」(校長代理)

 当事者の理事長にも取材を申し込んだが、ファックスで《当学園HP(ホームページ)でお伝えしております通りのお答え以上のことはいたしかねますので、ご対応はご容赦いただきたくお願い申し上げます》などと木で鼻をくくったような回答だった。そこで自宅を訪ねたところ、何度インターホンを押しても応答はなかった。

 同校はHPで、

《早朝挨拶の強要をしている事実はありません》

《長時間労働につきましても許容しておりません》

 と根拠を示さずに見解だけを掲載している。

 教師によるビラ配りなどはこの日だけ。しかし、挨拶儀式のストライキは続けていく。今月中には学校側と団体交渉を持つ予定という。

 同校の生徒は教師たちのストライキについて、

「先生たちがみな毎朝6時半に来ているのは知っています。“朝が大変なんだよなぁ”とグチってましたから。それだけ早く来ても、そのぶんの給料をもらえないのはおかしいですよね。正しいと思うことをきちんと主張できる先生はすごい。ボクは先生たちの味方ですよ」(1年生)

 学校をよくするためにリスクをおそれず行動に移した教師たちは、少なくとも生徒の信頼は勝ち得たようだ。

〈フリーライター山嵜信明と週刊女性取材班〉


《PROFILE》
やまさき・のぶあき ◎1959年、佐賀県生まれ。大学卒業後、業界新聞社、編集プロダクションなどを経て、'94年からフリーライター。事件・事故取材を中心にスポーツ、芸能、動物虐待などさまざまな分野で執筆している。